先見の明だったフィルムバック式
デジタル音源に対するレコード復権にも見られる通り、過度なデジタル化が進行するとアナログへと揺り戻しが起きるのは写真の世界も同様で、若い人を中心に懐古主義的にフィルムを好んで使う人が増えている。
カメラは同じレンズマウントを使う限り、ボディ側を交換する発想に立てば、フィルムカメラとデジタルカメラと言った具合に使い分けができる。主流となったミラーレスカメラはフランジバックの関係で物理的に使用できないが、一眼レフであれば可能な話だ。
35mm版であればキヤノンとニコン、それにペンタックスが該当するが、とりわけ懐古主義的に遊べるという意味ではニコンとペンタックスが双璧であろう。特にニコンは歴史的に見ても名機と呼ばれるカメラが多い。
その点、フィルムバック交換式のブローニーカメラ(中判カメラ)は、デジタルカメラ全盛の今の時代となっては実に理にかなっている仕掛けと言えるだろうね。
ペンタの645はどちらかと言えば35mm版に近いが、ハッセルブラッドはまさにそのフィルムバック交換式の代表選手で、特に人気の高かった500Cシリーズ辺りは未だにユーザーは多いと思うので、デジタルバック交換式として使えれば、手持ち資産の有効利用としては都合が良いだろう。
ハッセルブラッドが今度発売する907Xの50Cデジタルバックはその往年のVシリーズにも装着でき、5000万画素の中判センサーの部材調達コストが下がったのか、価格も従来の中版デジタルバックに比べてかなり抑えられているので、結構売れるのではないかと想像している。
35mmフルサイズが高画質と騒がれる..メーカーの思惑優先だが..が、高画素化が進んで逆にダイナミックレンジは低下しているので、より大きな中判センサーにはその点では敵わない。上には上がいるという良い例である。
35mmフルサイズで6000万画素とか8000万画素とか騒ぐなら、5000万画素の中判センサーのほうがレタッチ耐性含めて高画質なのは言うまでもないだろう。画素数の多さが画質の良さではないのだ。
その昔使っていたおハッセル様こと、Hasselblad 500CWとCFE80mm F2.8 T*の組み合わせ。
ウエストレベルで覗くスクエアな世界に憧れて満を持して手に入れたが、いざ使ってみると風景のような自然写真分野では使いこなしが難しく、なかなか難儀した記憶が。
やはり人を撮ったりスナップに使うのには適当だったと思われるが、その点、6×6スクエアで北海道美瑛の雄大な風景を切り取っていた前田真三氏(故人)には感服する以外にない。
それにしてもだ。もしまだ手元に503CWが残っていたら、間違いなく件の50Cデジタルバックを手に入れていたろうな。
もう15年近く経つが、新規事業としてハイビジョンカメラで映像制作の仕事を始める際、その原資とすべく売り払ってしまったことは今更ながら先見の明が無かったなと悔やむw