BLUE OWL
森の賢者と称されるフクロウは主に夜活動する鳥である。冬季、地域によっては日中も狩りをするケースが見られるが、繁殖期を中心に夜間に行動するのが基本である。
多くの鳥の仲間が夜目が利かないのに対し、フクロウの仲間はネコのように夜でも目が見えるの特徴であるため、その力をいかんなく発揮するために夜の森を活動の舞台としている。
猛禽類のフクロウが餌動物としているのは主にネズミの仲間だが、常に捕食者に命を狙われる彼らもまた夜行性であるため、ネズミを狩るために夜でも行動できるよう目と耳を進化させてきたのだ。
そんな稀有な生きものの姿を写真に撮るためには、北海道のエゾフクロウのように日中ねぐらで休んでいるところを撮るか、狩場を特定してストロボを焚いて写し止めるかの二択になるだろう。
夜間撮影などこれはもうアマチュアに手を出せる状況でないのは、宮崎学氏の著作「フクロウ(平凡社刊)」を見れば、夜に活動する生きものの姿を捉えることがどれだけ困難かは、想像に難くないことがすぐに分かる。
それでもそこにいると分かっていれば、撮ってみたいと思うのがワイルドライフカメラマンの性だ。
うちの近所には最低でも4ペアはいることは引っ越してすぐに分かった。年によって差はあるが、時々家のすぐ近くで鳴き交わすこともあるので、その機会を虎視眈々と狙っている次第である。
そんなこんなで、夜明けのオリンパスブルーに浮かぶフクロウの雄の姿を捉えることができた。
ストロボを使えば容易にその姿を捉えることができるのは分かっているが、あからさまにストロボ当てた写真が個人的に好きではないのである。そう、なんというか夜の鳥っぽくないのである。
そうなると、いくらデジタルカメラで高感度で撮影できるようになったとは言っても、真の闇では表現のしようもない。条件としてはデジタルカメラで撮れるギリギリの明るさが欲しいことになるので、必然的に明け方が狙い目になるわけだ。
そう上手い具合に明け方に同じ場所に姿を見せるとは限らないのだが、この冬は何度か同じ林縁で鳴き交わす声を特定できており、なおかつ夜明け前に東の空に雲が残っていない日を狙って待ち伏せをした結果、何度かそのチャンスをもらうことができた。
向こうからはこちらが近づく姿も足音..林床を歩くのでこればかりは消しようもないw..も、普通に見えて聞こえているはずだが、撮影可能な距離まで接近を許してくれたのにはひたすら感謝しかない。
それと、600mmの手持ち撮影でシャッター速度1/13でも手ブレなくピタリと止まるE-M1Xの手ブレ補正の威力にも、併せて感謝しなくてはなるまい。