難しいテーマに挑む
昨日は拙者も籍をおく某研究会の会議のために上京。師走最初の週末はどこもクリスマスに向けて活況で、田舎とは全然ことなる賑やかな雰囲気に酔いそうになってしまったw
会議は午後からだったので、昼前に気になっていた写真展を物色。少し前にFacebookで流れてきた情報を元に新宿ナイコンギャラリーで開催中の渡邉智之氏の個展「ホンドギツネって知ってる?~散歩道に潜む野生~」を観てきた。
野生動物の写真というと、アフリカやアラスカなど行けば誰でも撮れそうな被写体を安易に選びそうな昨今、ホンドギツネを敢えて被写体に選ぶというのは何とも玄人好みである。
キツネは民話に登場するほど人の意識の中に強くその名が残るものの、本州以南の野生でその姿を見たことがある人はほとんど居ないだろう。
同じアカギツネの仲間なら、いわゆるキタキツネが北海道に行けばこれまた掃いて捨てるほど道端にいるわけで、探す必要もなく向こうから近づいてくる個体が多いが、ホンドギツネはそれこそロボットカメラでも仕掛けない限り、その生息すら知られることはない。
では数が少ないかと言えばそんなこともなく、実は平地の河川敷などで人知れず子育てをしていたりするのである。
作品の殆どがデイライトというのも驚きなのだが、渡邉氏の写真がスゴイのは、キツネにレンズを意識させないその撮り方にある。わざと目線をもらったであろうカット以外は、ほぼレンズを見ていないのである。本人曰く慣れてもらったと言っていたが、犬猫じゃあるまいしなかなかそんな簡単に行くことではない。
色々話を聞いた限りではかなりキツネの生態にも精通していたので、かなり努力した点が伺える。雑誌やメーカーのカメラテスターみたいなカメラマンが多い..誰しも飯を食わねばなのでそれ自体悪い話ではないが..中にあって、若いのになかなか良い仕事をしているなぁと感じ入っているところである。
まだまだキツネをテーマに掘り下げるのか、また別の野生を追いかけるのか、時間的な都合でその辺りを掘り下げて聞かずにギャラリーを離れてしまったが、今後の活動に期待したい若手写真家の一人になった。