タグ : ブナ

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奥山の林道から支線に逸れ、残雪のあるブナ林を歩いていて、不意にサルの群れに遭遇した。群れと言っても子ザルを含めても十数頭程度だったので、群れとしてはさほど大きくない。

いつもなら、拙者を見ると威嚇しつつ速攻で逃げていくのだが、この群れは何故かこの場を離れようとしない。こちらが5mほどまで近づいても、チラチラと気にはするものの、威嚇することなく無視を決め込んでいる感じであった。

そんな連中が林床から探し出して一所懸命に食べているのは、どうやらブナの実のようで、口に含む際に時折白い紐状のものが見えるのは、実から伸びた根と思われる。

眼の前の人は目障りだが、雪解けで容易に見つけられるようになった春の恵みは捨て置けないという雰囲気がありありとする、なんとも春らしい出会いであった。

FUJIFILM X-T3 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR / CLASSIC CHROME

移動中だったので、三脚はバックパックに括り付けてあり、逃げないだろうという目算もありつつもあまり大きな動作をしたくなかったので、ホルスターから100-400mm付きX-T3を取り出して手持ちで動画撮影。

X-T3はX-H1と違ってIBISを装備していないので、手ぶれ補正はXF100-400に頼ることになったが、どうしてどうしてこれがまた結構踏ん張ってくれて、そんなに見苦しい絵にならずに済んだ。

X-T3の4K/60PはGH5やG9 PROに比べてまったく遜色なく、カラーグレーディングを前提としてない..撮って出しの意ね..のであれば、逆に艶っぽさでは上であると感じる。

長尺を記録する必要がなければ、もはやGHシリーズのお世話になる必然性は無くなったと言って良いだろう。

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春の冷たい雨

2019/4/12

雪国の山村に冷たい春の雨が降る。雨雲レーダーを見ると、この地域周辺にのみ雨雲が流れてきているのが判る。

雨の通り道は雪の通る道。雪国が雪国であることにはちゃんと理由があるということだ。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME

FUJIFILM X-T3 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR/ CLASSIC CHROME

雨上がりに山肌を眺めると、ぼんやりではあるが芽吹き前夜であることが判る。ブナが赤く煙って見えるのは、鱗片葉が膨らみ始めている証だ。

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東北の特に日本海側の山村では、低標高の人里であっても周囲がブナ林に囲まれていることが多い。戦後の拡大造林期には杉の植林地に置き換えられてしまった地域もあるが、過疎地の山村ではそれなりに生き残っている。

ブナは高木であっても曲がりやすく、漢字で「木が無い」という文字を当てられるほど建材には不向きであるが、逆にその特性を活かした加工品には昔から利用されてきた。

当然薪にも使用されてきたので、そういう意味でも集落の周囲に残されているのには意味がある。

FUJIFILM X-T3 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME
FUJIFILM X-T3 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME

FUJIFILM X-T3 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME / Dレンジ優先
FUJIFILM X-T3 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR / CLASSIC CHROME

何かに見られているようなそんな気配に気づき、視線を周囲を走らせると、すでにその気配はその場をサルところであった。

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ブナの林床

2018/11/16

森の中を歩く時、行って来いのコース取りなら、行きは樹冠を見上げつつ周囲に目を配りながら歩き、帰りは逆に目線を下げて林床で探しもの、というのが大抵のパターンだ。

もちろん、光線状態が変わるので帰りも周囲には注意しているが、やはり足元のローアングルな世界も捨てがたい。

ただ、難点はフジノンレンズは総じて最短撮影距離が長く、マクロ撮影的な近接能力が低いので、その場合はマイクロフォーサーズの出番となる。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASIC CHROME

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASIC CHROME
FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

ブナの森で目線を下げると、当然ながらブナの色々に目が届く。実、落ち葉、枯れ葉、実生、そして倒木などなど。

でも、あまり這いつくばって撮影していると、周囲への警戒が疎かになるので要注意だ。シカはガサガサと賑やかにやって来るが、クマは案外音を立てないので、うっかりばったりは勘弁である。

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もののけ

2018/10/28

久しぶりにもののけ姫を観た。

史実ではないし、日本列島の地勢を考えると東と西でなかなか考えづらい植生だったりするが、日本のアニメ史上でここまで日本そのものの原生自然を美しく描いた作品はないだろう。

権勢を振るう武士が登場し、蝦夷風の民が主人公に描かれているので、時代的には平安末期辺りかと思えなくもないが、火器が登場する点で室町、それも戦国中期の線が濃そうだ。

主人公が連れているのが馬でなくアカシカと呼ばれるシカの仲間で、これがどう見てもアフリカのウォーターバックそっくりな時点で、フィクションだよなぁと時代考証熱は覚めるけどね。

それと、江戸時代以前ならニホンオオカミがまだ奥山にはいたはずだが、宮崎駿はなぜ山犬をもう一つの主役に置いたのだろうか。

オオカミと山犬は同種だったというのが現在主流の考えらしいが、オオカミと明確に区別する意味で、野生化した犬または野犬と別に考える意見もあるのは事実だ。

シシ神という森の神様が登場し、山犬には物の怪としてそこに仕える?役割を与えているので、神の名を持つ大神では都合が悪かったのかもしれない。

などと、色づくブナの森を歩きつつツラツラ考えていたが、20年も前のアニメなのに未だ影響力があるのはさすが国民的アニメだ。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / Velvia

人の目には華やかに映る錦繍の秋も、ブナの森が今シーズンの店仕舞に入っていることの裏返しだ。秋を愛でつつ冬を待つ、そんな気持ちで森を歩くのは楽しい。

そしてEOS R

2018/10/26

キットレンズの24-105が装着されていたEOS Rを握った第一印象は、ああEOSだねという感じ。Z7同様、この辺りの握った感がメーカー内で統一されているのは良い。富士Xなんて見事にバラバラだし。

ただ、材質はマグネシウム合金だが、相変わらず金属感の無いプラスティッキーな安っぽい感もまんまEOSかなw

Z7で感じた小さ過ぎる感はEOS Rには感じられない。ミラーレスだからと必要以上に意図して小さく作ってないらしいが、逆にこの大きさなのにボディ内手ぶれ補正もなく、メモリのダブルスロットでないのはなぜだ?という疑問が湧くよね、フツウ。

EOS Rの右肩の液晶は最近流行りのドットマトリクス表示パネルを使っているので、電源を切っても情報が表示されてる。ただ、残念なことに一番知りたいバッテリー残量は消えてしまうのはイマイチ。バッテリーの残量を知りたいのに電源を入れるってどうよ?この辺りはX-H1のほうが優秀だ。

新しいUIであるマルチファンクションバーはちょっと触った感じではまだ何とも評価しようがないが、コンサバなオッサンカメラマンには無くても問題ない。それよりとうとう背面からサブ電子ダイヤルが無くなったことは、元EOS使い..まだやや現役なので語弊があるかw..としては感慨深い。

レンズに新設されたコントロールリングは適度なクリック感があって良い。早速そのクリック感を無くすサービスが始まったのには笑ったが、発表後に動画屋からクレームでも入ったのだろう。

相変わらず電源スイッチがあらぬ場所(左肩)にあるのはEOSの伝統だが、電池の保ちが良くないミラーレス機では、他のメーカー同様にシャッターボタン周りに移すべきだろう。

個人的にEOS Rで特筆すべき点はセンサーのカバー機構だ。電源を切るとシャッター幕が閉じて、センサーへのゴミの付着を抑えるという。密閉されるわけではないので完全に防ぐことは出来ないまでも、少しでも可能性を排除できるのは良い。

シャッターは切る前から何となく想像できたが、硬質感のあるパカっとした感じの、まさに握った時の印象そのままである。Z7ほどではないがシャッターショックも大きい。この辺り、やはりセンサーサイズなりのメカショックなのだろうか。

短時間ながらZ7とEOS Rを触ってみたが、フルサイズミラーレスというカテゴライズの上にあぐらをかいた商品という印象はどちらも一緒だ。初号機ということもあってか、両社ともにその本領を発揮するに至っていないと感じてしまうのは、業界の雄たる両社の凄さを知るからに他ならない。

特にキヤノンには、またEOSをメインで使う気になるようなシステムを早く揃えてほしいと思う。と言いながら、来年発売が予定されているLUMIX Sのほうに大いに興味があったりするのは内緒だけどw

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

ブナの森の紅葉も終盤に入った。標高が低いところでもそろそろ落葉している木が見られる。

天狗様の観察で奥山の林道をグルグルと徘徊しているが、台風被害の崩落と倒木があって支線は入れないところが多い。林務で植林地の伐採でもしていない限り、時期的に今シーズンはこのまま放置だろう。

雪が積もる前に一度入っておきたい谷筋があったのだが、こればかりは仕方あるまい。以前なら歩いてアプローチもありだったが、なかなかまとまった時間が取れないのでそれも難しい昨今である。

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世界初は富士

2018/10/23

世界最初のデジタルカメラを開発したのが富士フイルムとは、つい先日まで知らなかった。

写真フィルムメーカーが世界初のデジタルカメラを開発

元記事には1988年のフォトキナで発表とあるが、その当時は当然ながらフィルムカメラの時代。例えばレンズシステムも含めたAFカメラとしてαショックを生み出したミノルタα-7000が世に出たのが1985年で、キヤノンのフラッグシップ機であるEOS-1が発売されるのは翌年の1989年の話である。

デジタルカメラの起源は意外に古く、コダックが開発したものが世界最初(1975年)と言われている。なので富士フイルムで言う世界最初とは、現在では標準となっているメモリーカード(SRAM)に記録する方式では、という話になるようだ。

この後、現在のデジカメの原型となるQV-10がカシオから発売されるのはさらに7年後の1995年のことなので、富士フイルムだけに限った話ではないが、デジタルカメラの開発自体はかなり早くから行われていたことがうかがえる。

何より驚きなのは、富士フイルムのカメラ事業では主力製品だったフイルムの立場を脅かすような製品を、他のどのカメラメーカーよりも早く形にしていたことだろう。

富士フイルムのデジタル一眼カメラ市場への参入は後発と言われているが、Xシリーズの完成度の高さを見る限り、実は満を持しての投入というのが正しい評価と言えよう。

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

ブナの葉はセルロースが多く硬いために腐りにい。そのためブナの森の土壌はスポンジ状の腐食層が形成されるので、雨水など水分の保水率が高く、緑のダムと呼ばれている。

最後の赤い実はナナカマド。

木が無い

2018/10/19

奥山の紅葉の主役はブナをおいて他にないと思う。

ブナは漢字では木が無いと書いて「橅」となる。幹がまっすぐ育たない上に腐りやすく、建材や建具に用いるわけにも行かず、同じ高木でも針葉樹のように人の生活の糧にならないからだろう。

直接的に人の役には立たないかもしれないが、多様性を育む山の自然の豊かさ、豊穣さを現す時、そこにブナの森が残されているかどうかは一つの指標と考えて良い。

海辺の干潟や湿地帯なども同様であるが、役にたたないことが否である考え方は何とも貧困であると思う。役にたたないものにも価値を見いだせる、そんな寛容な考え方があっても良いのである。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

幹がまっすぐ育たないとは書いたが、多雪地帯のブナは実はあまり横方向に枝を張らない。大きく枝を張り出しすぎると、雪の重みで折れてしまうからだ。

なので日本海側のブナ林の多くは、太平洋側に比べると比較的樹高の高い森が形成される傾向にある。

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そのまま即凶器に転用できそうな形状だが、これはホウノキの実である。夏うちは緑色だが、秋になって熟すと赤くなる。どことなくドリアンに似ていて食べられそうだが、食用ではない。

ただ、以前にカラスが突いているのを見たことがあるので、人以外には食べることができるのだろう。昔は下剤など薬の代わりに用いたという話も聞くが、実のところは定かではない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

今年は庭のブナが豊作。夏になって連日のように村内でクマの目撃情報があり、うちの地区でも何回か出没騒ぎになっているので、是非ともクマを誘致したいぞw

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奥山のブナの森を空から眺めてみると、春から初夏への季節の移ろいは、見る者を置いてきぼりにするかのようにあっという間の出来事だ。

キツツキのドラミングがこだましていた雪解けの森は、エゾハルゼミの大合唱にあふれる萌黄の森へと移り変わった。生きものや植物の息吹あふれる季節の進みは待ったなしである。

DJI Mavic Pro(1枚目は4Kから静止画切り出し)

森の中からドローンを上げるにはそれなりの技術を必要とする。上空に障害物となる木々の枝が張り出してないか慎重に確認することが求められ、闇雲に離陸させると幹や枝にプロペラを引っ掛けて墜落の憂き目に遭うことは必定だ。

例えそれが芽吹き前の明るい林内であっても、枝の張り出し自体は展葉期と変わらない。逆にそこに枝があることに気が付かない..細い枝には障害物回避センサーは反応しない..ため、プロペラの破損、ひいては機体の破損につながる可能性が高いのである。

低山の森で開けた空間を探すのは一苦労だが、奥山のブナの森には倒木更新が見られる。大木となって枝を大きく張り出したブナが何らかの要因で倒れると、そんな場所にはポッカリと樹冠が空けている..ギャップとも言う..のである。

一般的にブナは単層林を形成することが多く、それ1本で森の中の空間を広く支配している。そんなブナが倒れるということは、自分の立ち位置を他の植物に譲ることになり、追っ付け光を求めてブナも含めた生存競争が始まるのである。そのきっかけが倒木更新なのだ。

森の中に特機のクレーンを持ち込むなど想定外であるため、そんな倒木更新で空けたギャップを利用させてもらうことで、林内からドローンを森の上空へと離陸させることが出来るのである。

但し注意が必要なのは、芽吹き前は多少ドローンを移動させても下から捕捉することが出来るが、展葉期は空いた樹冠以外は空が見えてないため、上下降以外の動きをドローンにさせるのは危険である。飛行可能エリアであっても、目視外飛行のためには専任の監視要員が必要なのと、そもそもその監視要要員からドローンが見えている必要がある。

折りたたみ式で携行性の高いMavic Proの登場で、こういった単独シチュエーションでも空撮が出来るようになったが、安全面での配慮を怠ってまで飛行させることが出来ないのは言うまでもない。

ミラーレス一眼を2台..フジのX-H1とX-T2..にその交換レンズ、小型トラベラー三脚、それに空撮用のドローンを一つのバックパックに収納して運用中。

別のパターンでは、X-T2の位置に対生きもの用にG9 PRO+パナライカ100-400が収まる場合もあるが、終日撮影の場合は食料他の収納も必要なので、歩行中の速写性の観点からもG9 PROはトップローダー式のショルダーで下げている場合が多い。

何にせよ写真に動画にしかも空撮まで、こんなコンパクトな機材で運用できるのだから、つくづく良い時代になったもんだとしみじみ。