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微妙なm4/3

2013/10/27

このところレンズマウントの話を続けているが、m4/3(マイクロフォーサーズ)という規格があったのを思い出した。と言いつつ思い出すも何も、動画撮影ではほぼ毎回お世話になっているので、それはもう何とも白々しい話だが(笑)。

余談だが、元々はオリンパスの4/3規格というのあって、後から参入したパナソニックがミラーレスに最適化した互換規格としてm4/3を提唱、軒を貸したら母屋を乗っ取られた的な状況にあるのが現在である。オリンパスがm4/3に集中すると先日発表したことからもそれは明白だろう。

センサーサイズの関係で、いわゆるフルサイズの2倍の焦点距離が稼げるm4/3。例えば300mmの望遠レンズがそのまま600mm相当になるので、望遠系に振りたいという事情があって、そういう意味合いで現時点でベストな規格..ワイルドライフ撮影という実にニッチな世界の話だが..であるが、では未来があるのかといえばそれは微妙かな、という気がしている。

そう、それはこれから4Kの世界が待っているという映像市場の都合に他ならない。解像度が高くなればセンサーがより大きいほうが有利であることは言うまでもなく、フルサイズ>スーパー35>APS-C>m4/3>1インチ>2/3インチ>1/3インチという関係が無条件に成立する。何よりパナは4Kビデオカメラにm4/3を採用することを明言しておらず、実際にはスーパー35..これはほぼAPS-Hに相当する..を採用した試作機を展示しているのだ。つまりm4/3は今のところ2K(フルHD)止まりであり、先行きは不透明なのである。

今のところ、と書いたのには理由がある。ソニーが発売を予定しているFDR-AX1は民生機初の4Kビデオカメラだが、そのセンサーサイズは何と2/3インチなのである。2/3インチでも4Kの情報を取り出せる..しかも聞くところによれば4K(800万画素)はさらに小さいエリアというではないか..のであれば、それより面積比で4倍大きいm4/3でも十分可能だと言える。

何れにせよパナの動向については、ソニーほど事前リークが活発でない..GH3の上位機がm4/3で4Kという噂が最近出てはいるが..ため、まあそれ故先行き不透明という意味なのだが、期待して投資するほど懐に余裕はないので、何となくソニーのEマウント機に傾きつつある昨今なのである。まあGH2を使い始めた時からそう思っていたので、m4/3レンズは3本しか持ってないしね(笑)。

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台風一過で快晴かと思いきや、今日の赤城高原は冬型の空模様で終日北風ピューピュー。

キヤノンのEOS 5D MrarkIIで火がついた大判センサーブームの昨今。マイクロフォーサーズのパナGH2から、上はとうとう35mmフルサイズセンサーを搭載したバケモノビデオカムコーダー(ソニーのNEX-VG900こと)まで登場、まさに動画の世は百花繚乱状態だ。

記録媒体も当然のごとくSDカードやSSDなどメモリーメディアへと主流は移り、しかもデュアルスロットでミラーリングも可能、果てはHDMIから非圧縮なクリーン信号を出力し、外部レコーダーにProResやCinemaDNGで、しかも4Kで記録する時代ときたもんだ。そんな生き馬の目を抜くデジタルイノベーションの時代(意味不明)に、どうだ我が赤城高原スタジオでは、未だにテープからキャプチャしてますが、何か(笑)。

素材映像クリップの記録をDSLRで撮るようになって3年が経ち、時間に融通の利かないイベントものの撮影はほとんど引き受けなくなっているが、撮影スタッフのやる気次第といった側面もあるものの、知人の伝やらで頼まれるとなかなか断りづらいものだ。周囲の同業者はそろそろ..ようやくか(苦笑)..AVCHDに移行し始めているが、ワークフローの関係でまだまだテープ(HDV)が主流であることは、レガシーにこだわる映像業界内でも特に田舎はまあそんなもんである。

先日もキャノンXL H1の2カメに同HV30と同iVIS HF G10..おっとこれだけAVCHDね..の3人4カメ体制で、スチルは私が担当。テープの弱点は記録時間であるが、HV30などのサブカメはテープ交換時の予備機でもあり、そういった小細工で現場はやり繰りしているのだ。もっとも最近は1台だけローランドのフィールドレコーダーで外部記録も行い、更なるバックアップも考えるようになっている。

アマチュアが趣味で撮る分には、最先端の情報をネットでさらい、大枚はたいて大判センサーカメラもありだろうが、先日のPCのOSの話同様に、ビデオ撮影の世界も仕事ではそう簡単に最新のものを一気に導入などとは、なかなかいかないのである。

もちろん仕事で即使う前提でなければ、予算の許される範囲で最新の機材に触れたいのが本音で、つい先だって、魔が差してポチッと某デジタルシネマカメラ..漢字に置き換えると「黒魔術意匠」かな(笑)..を注文したまでは良かったものの、どうにも絶対的な国内の流通数が少なく、こんなど田舎のプロダクションに届くのは、かなり先になりそう気配である。

ちなみに何でこの記事を書いているかと言えば、先週追加したビデオ編集用PCにIEEE1394ポート..MacでいうFireWireってやつね..が装備されておらず..と言うかWindowsマシンには装備されているケースがレアだが..、それまで使っていたPCからボードを付け替えようと思ったら、拡張スロットがすでにRadeon HD 7870に占拠されており、仕方なくPCI Express x1のボードを急遽追加で入手、今日になってやっとこHDVをキャプチャできるようになった次第。

USB3.0にThunderboltなど高速インターフェイスの時代に突入したPC環境だけど、こうしてテープの呪縛に縛られて、よもや最新のIvy Bridgeマシンに新たなIEEE1394のボードを差すハメになるとは(苦笑)。