かなり気が早いように思わなくもないが、冬の間に土で埋まった水路を掘り起こし、畦を固めて用水路の主流から水を引き入れている田んぼが散見された。まださすがに本格的な田起こしには至らないとは思うが、南の方ではかくも少しずつ春の気配が漂い始めている。
引水
ウグイス初鳴き
静かな訪問者
最初に姿を現した時にぐぅっと低く唸るように声を発したが、その後は何を言うでもなくダンマリ。距離は10mほどだが、お互い雪の山を挟んでいるので、近づくことも寄ってくることもない。
山親爺とも称される立派な体躯は雄の成獣だろうか。その毛足の長い美しい冬毛が、雪レフの反射で1本1本数えられるほどはっきり見る。心なしか獣臭も漂ってくる。
お昼ごろに天狗様が巣材を掴んで営巣谷へ入っていってから、その後は時折カラ類が木々を渡っていくくらいで静かそのものだったので、突然の訪問者は歓迎といったところだが、一体何を考えているのか聞いてみたいほど、その動きは緩慢でのんびりしたものだ。
30分ほど滞在していただろうか。最後に再び何か言ったようにも聞こえたが、谷を渡る風にかき消されてよく聞き取れなかった。そうこうして振り向いた時には、もう付近には姿がなかった。
未曾有の大豪雪
多忙の渦に巻き込まれ、しばらく更新をサボっていたが、このほどようやく復帰の目処が。そしてその最初の話題が先週末の大雪だったりするから、まあ時事ネタというか何というか。
未だ県内各地で交通が遮断されて立ち往生とか、山間集落が孤立状態とか、平常に戻ったとはまったく言えない状況だが、我が家は二日がかりで家と車と犬を雪中より掘り出し、孤立状態の脱出に成功した。
すでにニュースで報道されている通り、北部山間地を除く群馬県内は、100年の単位での豪雪記録となった。赤城山を背にする平野部の前橋ですら70cm強というから、その積雪量たるや相当のものだ。かくいう赤城高原の我が家では、最も深いところで150cm、平均しても120cm程度は積もっており、車はすべてすっぽり埋もれてしまい、ジムニーなどご覧のありさまで、とりあえず春の雪解けを待つ次第となった(苦笑)。
北海道で幾冬も過ごしてきているので、この手の景色はそれなりに経験しているが、自分の生活圏では人生初のことである。丸2日間の除雪作業で体中が悲鳴を上げているが、こんなことを連日繰り返している雪国の人たちには頭がさがる思いだ。
実は我が家よりさらに奥の住人が中古の除雪機を持っており、普段雪がここまで積もることのない赤城高原では宝の持ち腐れだとか何とか陰口をたたかれていたが、今回ばかりはその恩恵に与ろうと朝から出動を待っていたものの、数年前から動かしていないので、エンジンがかからず使えないという笑い話(笑)。
人頼みはイカンとせっせと雪かきに勤しんだが、村道から家の前まで約30mほどあって、その120cmの積雪を車1台通れるように人力で除雪するのはもう懲り懲りである。いやはや、雪は地面が白くなる程度にうっすら積もるのが良いね。
一足早く
久々の雪中行軍
たらっぺ
タラノキは伐採地など開放空間にまっさきに生える、いわゆるパイオニア樹種である。そのたらっぺ(春に伸びる芽)は山菜の王様とも言うべき味わいで、てんぷらにして塩振って食べるのが最高だ。
先日の記事で伐採地巡回をネタにしたが、見まわる理由にはこんな楽しみもあるのだ。林道脇などアプローチがし易い場所は地元愛好家との競争になるが、ちょっと奥まったところであれば、そう急がなくても十分収穫できるのが良い。
写真はタラノキの冬芽。たらっぺとはタラの芽の我が郷土での呼び名である。先端の最初の芽を太郎っぺと呼び、それが訛ってたらっぺに転じたと思われる。順に2番目の芽を次郎っぺ、三番目の芽を三郎っぺと呼ぶわけだが、山菜として収穫していいのは、次郎っぺまで。それ以上に手を出すと翌年は芽が出ないと教わった。