portfolio

20140302

最初に姿を現した時にぐぅっと低く唸るように声を発したが、その後は何を言うでもなくダンマリ。距離は10mほどだが、お互い雪の山を挟んでいるので、近づくことも寄ってくることもない。

山親爺とも称される立派な体躯は雄の成獣だろうか。その毛足の長い美しい冬毛が、雪レフの反射で1本1本数えられるほどはっきり見る。心なしか獣臭も漂ってくる。

お昼ごろに天狗様が巣材を掴んで営巣谷へ入っていってから、その後は時折カラ類が木々を渡っていくくらいで静かそのものだったので、突然の訪問者は歓迎といったところだが、一体何を考えているのか聞いてみたいほど、その動きは緩慢でのんびりしたものだ。

30分ほど滞在していただろうか。最後に再び何か言ったようにも聞こえたが、谷を渡る風にかき消されてよく聞き取れなかった。そうこうして振り向いた時には、もう付近には姿がなかった。

カテゴリ:ほ乳類|タグ: