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MINAMATA

2021/9/29

ジョニー・デップ主演の映画「MINAMATA」を観てきた。

ジョニーはどうしてもパイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウなどからくる、被り物俳優のイメージが付いて回るが、本作は一応エンタメ枠ではあるものの、社会問題を題材にしたドキュメンタリーっぽい作りの作品である。

しかもテーマが世界的にもよく知られる日本の水俣病という公害問題ということで、ハリウッド俳優が主演を演じることが逆に日本人にとっては外から見える国内問題を覗き見しているように感じられる不思議な作品とも言える。

そもそも水俣問題を世界に知らしめたのが、当時米ライフ誌とも契約していたマグナム・フォトのカメラマンだったユージン・スミスなので、米国人が同氏を演じることに何の違和感もないのも実際のところだ。

水俣の公害問題自体は国も関係してすでに過去のものとして蓋をしていることから、国内の熊本が舞台なれど関係各所から適切な協力が得られなかったことは、スクリーンを通して観る景色から容易に想像がつく。何しろユージンの当時元妻だったアイリーン・美緒子・スミス氏は、今でも筋金入りの反核の環境活動家だしね。

撮影のほとんどが有明海から遠く離れたセルビアということで、日本人的には石造りの漁村風景に異国感が漂う..冒頭のドローンショットはさすがに熊本のようだ..のはいささか難はあるが、そういう仔細な点よりもやはり俳優陣の演技力に目が行くのは間違いない。

主演がジョニー・デップなのでどうしてもそこに衆目が集まるが、真田広之や國村隼、浅野忠信など国内の著名な俳優陣も出演している。

最初にエンタメ枠とは書いたが、それはあくまで正確に史実のみを時系列で追った作品ではないのでドキュメンタリーとできないだけであって、テーマは限りなく重く、そこに楽しさやハッピーエンド的な演出は1mmもないことは言うまでもない。

されど本作で描かれている内容は日本で起きた紛れもない事実であるので、日本人はぜひとも観ておくべき作品と言えるだろう。エンドロールに登場する福島原発事故共々ね。

FUJIFILM GFX100S / GF23mm F4 R LM WR / Velvia

フィルムとデジタルという時代的な背景の違いもあるが、WebやSNSで安っぽく大量に写真が消費されていく現在と比べ、写真一枚の持つ意味の圧倒的な重さにあらためてそういう時代があったのだということを思い出せてくる作品だった。

SNSでいいねを押してもらって喜んでいる自称写真家たちこそ、時代を知り己の軽薄さを悟り、表現者とは何たるかを知るべきだな。