ちょっと前の話になるが、春休みに家人が倅の部屋を大掃除していて、収納庫の奥から懐かしいレガシーガジェットを掘り出してきた。それは引っ越してからろくに開けてもいない引越し屋の段ボール箱から、上の倅が当時集めていたトーマスのプラレール部品と一緒に出てきた。
永き眠りから目覚めたのは、米Apple Computer(現Apple)のラップトップPC、Macintosh PowerBook 540c 通称『Blackbird ブラックバード』である。
1994年発売ということで、今を遡ることかれこれ21年前のPCということになる。これ以外のMacと、以降に手に入れたWin系のPCはもうすべて廃棄されているが、何故かこれだけ生き残っているのにはそれなりの理由があったがそれはまた後日。
それはそうと、何しろ20年以上前の代物で増設された2基のバッテリーはほぼ死んでいたし、動くか否かは半信半疑であったが、ACアダプタをつないで電源を入れると懐かしきジャーンという和音とともにMacアイコンが表示され、見事に漢字Talk7.5..当時のMacintoshのOSの呼び名..が起動された。ちょっと感動の瞬間だったりする(笑)。
当時のApple Computerは、かの創業者スティーブ・ジョブズを追い出した後、企業存亡の危機にあったわけだが、現在のようなコンシューマ向きではなく、他のPCメーカー同様にビジネス分野を中心に事業を展開しており、どちらかと言えばラップトップよりもデスクトップ向け製品がメインだった。PB540cはそんな当時のラップトップ型のフラッグシップ機である。
Macintosh PowerBook 540c 技術仕様 »
モトローラMC68LC040にVGAモニタ、メモリは12MB..本機は36MBに増設してある..でHDDは320MBなど、突っ込みどころは色々あるが、どの仕様一つとっても20年前のテクノロジーということで懐かしく頷く以外ない(笑)。
現在出張時に携行している MacBook Air 13インチと並べてみる(写真左)。こうしてみると、コマンドキーの配置、トラックパッドとクリックボタンの位置関係など、ヒューマンインターフェイスのデザイン部分が今と同じ..現行のMacBook系はトラックパッドが一体になっているが..であることが判る。
比較用にMBA13(13.3インチ 1440×900)の方にPB540c(9.5インチ 640×480)のスクリーンショットを表示しているが、モニターサイズと色表現に関しては時代以上の差を感じる部分である。
薄いことがセールスポイントであるMBA13と並べること自体無謀だが、一応お約束で比較写真も(写真右)。もちろん右がPB540cで左がMBA13。ハンデありすぎなのでMBA13にはオマケにiPad 3rdを載せてあるが、それでもPB540cのほうが倍以上の厚さなのにはこれまた時代の流れと技術の進歩を感じる。
ちなみにMBA13は1.35kg、PB540cは3.3kg。PB540cはSCSI含め当時考えうるほぼすべてのインターフェイスを備えており、リチウムイオンバッテリーも2個込なので、今どきの高スペックノートと較べても特に重いわけではない。当時流行りのFAXモデムも装備しているしね。
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MacBook Air 13インチ |
PowerBook 540c |
発売時期 |
2013年6月 |
1994年5月 |
CPU |
Intel Core i7 デュアルコア2.0GHz |
モトローラ MC68LC040 66/33 MHz |
メモリ |
8GB |
36MB |
ストレージ |
512GB SSD |
320MB |
ディスプレイ |
1440×900 数百万色 (最大2560×1600) |
640×480 256色 |
価格 |
〜¥160,000程度 |
定価で¥600,000以上した覚えが.. |
単純に計算してもメモリは227倍、ストレージは1638倍、ディスプレイ解像度は横2.25倍、CPUとグラフィックス性能は今となっては計算しようがない。
林檎マークも変わった。以前は6色の虹色であったが、2006年から現在の単色になった。さらに表示の仕方も変わっていて、以前は所有者がモニターを閉じた際に正しく見えるように配置してあったが、現在はモニターを開いた際、相対した相手に正しく見えるように配置され、さり気なくMacを使っていることを主張する意匠となっている。
バブルと呼ばれた今となっては狂気の時代、アナログムーバ片手にこのPB540c..正確にはバブル時代はPowerBook Duo 230だったが..を肩に担いで、全国を飛び回っていた頃が懐かしい。余談だが、当時IT未開の地であった地の果てシリエトクこと知床に、初めてMacを持ち込んだのはかくいう私である。その年のうちに、知床自然センター管理事務所(現在の知床財団の前身)にPBが並んでいたのは言うまでもない(笑)。
そんなことで、もし引越し後に開けたことのない段ボール箱などあったら、タイムカプセルが如く開けてみると面白いかも。貴重?な何かを発掘できるかもしれない。もちろん、昔の思い出もね..