タグ : イヌワシ

portfolio

春の調査

2019/3/18

昨秋の調査で、北部フィールドの某谷の天狗様の行動圏が少し西にずれたように思われるので、その辺りの確認含め朝から調査に出張る。結果自体はまあ想像の域を出ていないもので、ある意味期待通りでもあった。

さらに午後遅く隣接ペアとの境界付近で大きく波状飛行を繰り返したので、その更に奥を見ていると、その対象主も視野に捉えることができ、この日はこの時期にしては珍しく3個体同時出現というオマケ付きであった。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

高いところから少し広く眺める必要があるため、久しぶりに双眼スコープを引っ張り出した。

この前来た時は時ならぬ雪に阻まれたが、さすがにその雪も解けていたので、少し歩いて一汗かいたものの、まあ良い運動になったぞw

FUJIFILM X-T3 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASSIC CHROME

尾根が折り重なるように眼前に広がる。その襞のような連なりの陰から斜面の一つ一つまで、双眼スコープでじっくり舐めるように視線を送る。

ご多分にもれず、この山域も例年に比べて明らかに積雪量が少ない。

FUJIFILM X-T3 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASSIC CHROME

林道の途中はマンサクの花がまだ見頃であった。標高が高いので季節の歩みも一ヶ月くらい遅い。それでも眼下の谷筋からは時折ミソサザイのさえずりが聞こえてきた。

カテゴリ:猛禽|タグ:,

天狗様現る!

2018/11/24

みなかみ町に仕事で出掛けたので、帰りがけにたくみの里に立ち寄って、噂の天狗様を拝んできた。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / CLASSIC CHROME

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / CLASSIC CHROME

天狗様も乙事主様も稲藁で作られていて、近くで見ると結構デカイのに驚く。イノシシなど軽自動車より大きい。

この「わらアート」の展示は今月末までなので、ご覧になる方はお早めに。

子供の頃、某国営放送で「御宿かわせみ」という番組が始まると聞いて、てっきりカワセミ..もちろん鳥のことね..が出てくるのかと期待して初回放送を観て、バリバリの時代劇だったのでガッカリした記憶があるw

それでもドラマのタイトルに生きものの名前が被せられていると、ついつい懲りずに観てしまうのは悲しい性なのか、つい最近はテレ朝の「ハゲタカ」というドラマを観ていた。

以前に同じ原作(真山仁)の某国営放送版..この時の主役は大森南朋で今回のテレ朝版では綾野剛..を観ているので、前述の下りはまあネタ絡みの冗談なのだが、ネットの予告だったかでイヌワシを探しに行くような場面があって、今回は騙されないぞと思いつつもついつい、というのが話しの振りであるw

ドラマの内容はどうでもいいのだが、確かに初回放送のエンディングにイヌワシが登場した。トビとかノスリとかの映像でなかったのを確認、背景等から知り合いの映像だというのもすぐに判った。

何しろあれだけネイチャー系番組を放送している某国営放送のドラマですら生きもの考証は部局の縦割りの影響で適当なので、我らが天狗様ことイヌワシを適当に扱われては気分がよろしくないのでね。

それにしてもだ。番組タイトルはハゲタカなのに、なぜイヌワシを登場させる必然性があるのかの疑問はある。

それについての理由は番組内で「鷲津(主役の名前)は海外ではゴールデンイーグル(イヌワシの英名)と呼ばれていて狙った獲物は逃さない」的な説明セリフがあり、ああそういうことねとその時点では納得したものの、その後も外資のファンドをハゲタカと称しているわりに主人公をゴールデンイーグルと呼ばせている点には何とも違和感アリアリなのである。

まさかイヌワシをハゲタカと一緒にはしてねぇよなぁという疑心の念をもちつつも、鷲津のタイトルバックにチラッと写る写真がハゲワシっぽいので、何となく混同しているようにも思えるし、うーんw

ちなみにハゲワシ(英名でVulture)は実際に存在するが、ハゲタカという鳥は実在しない。ハイエナ的なポジションを与えられた、より攻撃的で弱者を食い物にする悪役の意味合いで使われる、小説や映画の世界の俗称である。

ニホンイヌワシ

Canon EOS-1D MarkIII / EF600mm F4L IS II USM

これが天翔ける天狗様の雄姿だ。兎にも角にもハゲタカ風情などど我らが天狗様を一緒にしてほしくないねw

カテゴリ:猛禽|タグ:

雪少なめ

2018/2/11

福井の豪雪にある通り、北陸や西日本で雪が多い年は県北は意外に雪が少ない。ただ、寒波の影響で連日気温が低いため、赤城高原では降った雪が解けずに残って景色だけは白銀ではある。

FUJIFILM X-T2 / XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR

と言うことで、県内も行くところによって雪の量に大きな差がある。天狗様の狩場としては雪は無いよりはあったほうが良いのだが、観察に行く者の都合としては無いほうがありがたい..重い機材背負って長々と林道を歩かなくても済むので..という本音もあるw

FUJIFILM X-T2 / XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR

昨年暮れに天狗父が巣材を運んだのを確認していたので、年明けから定期的に調査中。その時は行動からどうみてもハンティングだと思っていたが、斜面に飛び込んで暫くして姿を見せたら、何故か巣材を運んでいったのである。

現在は抱卵中なのでそっちには近づかないようにしているが、こっちの谷筋にも天狗父が時々姿を見せるので、日当たりの良い対岸の林道脇から観察続行中。

カテゴリ:季節感, 猛禽|タグ:

雨は少し前に上がっていて、もしかして西陽が入るかと撤収せずに待機していると、谷間からガスが巻いて立ち昇り、そこにタイミング良く陽が差し込む。神々しいなどとは風景写真家がよく使う言い回しで陳腐だが、現場にいれば言い得て妙ではある。

写真は撮る技術以上にそこに居合わせるという運のようなものも必要だろう。もっと言えばその運を引き寄せる事前の下調べ、それに勘所も必要だろうね。

などと書くと、さも景色を撮っていたように聞こえるが、別に美しい景色を狙っていたわけではなく、天狗様の観察で見晴らしの良い林道に上がっていた結果論だが、実はこの話で本当にグッドタイミングだったのは、一度稜線の向こうに消えていたアノ人が戻ってきたこと。

この時間帯に谷の奥へと入っていくのは大抵ねぐらへ向かうことが多く、ほぼ戻ってくる可能性は低いのだが、目の前の景色が前述のとおりだったこともあって、待機していたことが2つの偶然を生んだことになる。

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR

中央付近の小さな鳥影がアノ人。当然、4K超望遠で動画も楽しい絵を撮らせてもらった。

カテゴリ:猛禽|タグ:

岩手北上高地のイヌワシ(英名:Golden Eagle)が、今まさに存亡の危機にある。

本来エコを目指すべき自然再生エネルギー開発の名のもとに、ニホンイヌワシという絶滅危惧種の生息地そのものが脅かされそうとしている。

北上高地は、国指定の天然記念物でもあるイヌワシの国内でも有数の生息地である。その生息地内に数十基もの巨大な風車タワーが建設されれば、2008年に国内初のイヌワシ衝突死を起こした釜石風発の二の舞いが懸念され、バードストライク問題の再発を予見せざるを得ない。

ニホンイヌワシの岩手個体群の消失を止めることは、無機質な風車が回り続ける異様な光景から、イーハトーブの故郷を守ることにほかならない。

Save the Golden Eagles, Save the Ihatov.

天気が下り坂で、今日の東京はどんより曇り空。そんなこんなで、関係省庁に意見書を提出すべく、終日霞が関巡りであった。

この年末の忙しい時期、我々の切実なる思いに、イヌワシの未来に、真摯に耳を傾けてくれた関係者にまずは感謝したい。

日本イヌワシ研究会:(仮称)宮古岩泉風力発電事業」に対する意見書

某国営放送はこともあろうに、生きもの系の看板番組であるワイルドライフでもやらかしてくれた。

今週はイギリス北部のスペイ川の話で、ストーリーはサケを中心としたものであった。スコットランドが舞台ということもあって、天狗様が出るのではないか期待していたところ、ユキウサギの場面で空からの捕食者として登場した。

が、確かにユキウサギのシーンの前後に繋いだ個体は若いイヌワシであったが、最後に飛び去るシーンでは思いっきりオジロワシの若鳥であった。オイオイそれはちゃうやんけとツッコミの後、さすがにこれは許せんとばかりに前橋放送局..何故前橋だ(笑)..に文句を言おうとしたが、そこは大人げないので止めておいた。

イギリスの話だったのでいつものようにBBC辺りから買ったのかと思ったが、エンドロールを見る限りBBCではなかった。天狗様本家のお膝元であるBBCでそんなミスはないだろうから、日本語訳の段階で間違えたか、そもそもメタデータが間違っていたか。何やってんだかねぇ..

20160308

今日は日中は暖かかった、いや、暑かったというべきか。この季節はまだ手放せないアンダーウエアも、今日はさすがに必要なかった。

朝のニュースで東京は朝霧に包まれていたが、それは利根沼田も同じ。赤城高原から下は雲海の底に沈んでいた。

カテゴリ:ほ乳類, 映画・映像|タグ:

イノシシやシカなど野生動物は人の匂いには敏感で、猟師の仕掛けたワナに露骨に人の匂い付いていたりするとすぐに見破るという。

しかし人工物などは抵抗なくむしろ積極的に利用しているフシがある。タヌキは廃屋を、ハクビシンやムササビは山小屋や神社仏閣などを、ツバメやスズメなら人が住んでいる家に巣を造るといった具合に。

ハヤブサの仲間が都市部の高層建築物に営巣する例は世界的にも以前から知られているが、同じワシタカなど猛禽類には人工物を積極的に利用して生活している種が多い。

トビなどは休息のために鉄塔..高圧線の支柱や橋の欄干、携帯アンテナなど..によく留まるが、オオタカやハヤブサそれにノスリなどは、ハンティング行為の一部として探餌を行う際に頻繁に鉄塔に留まる。営巣地が近ければ誇示行動の一部でも同様だ。

ワシタカの仲間は、飛びながら餌を探すタイプと待ち伏せして餌を探すタイプに分けられる。例として挙げた鉄塔の類を利用するのはどちらかと言うと後者に多く見られ、チュウヒなど草原性のタカはほとんど鉄塔などに留まることはない。

もちろん何事にも例外はあり、ハイタカ属のハイタカやツミはオオタカほどは人工物に留まることは少ない。同じ待ち伏せ猟をするにしても、目立つ場所に留まるのではなく、どちらかと言うと雑木林の林縁部など枝先でひっそりと探餌することが多いようだ。

20160302

山間部を通る高圧線の鉄塔に留まって探餌するクマタカ。

クマタカは日本産のタカの仲間では最大で、その昔は深山幽谷にすむ希少な生きものと考えられていたが、実際は意外に人里周辺でも生活していることが知られている。

さらに鉄塔大好き猛禽と言っても言い過ぎではないほど、鉄塔に留まる姿を季節を問わずよく見かける。餌を探すのも鉄塔、巣を見張るのも鉄塔、交尾をするのも鉄塔、休息するのも鉄塔だったりして、まったく人工物に頓着しない..ただしダムやスキー場などの構造物にはほとんど近づかない..性格なのである。

これに対して徹底的に人工物を嫌うのが天狗様ことイヌワシだ。テリトリー内の見晴らしの良い場所に探餌に都合の良い鉄塔が立っていても、わざわざ近くの尾根上の枯松に留まっていることが多い。

北米のイヌワシには風発の風車に留まる強者がいるらしいので、イヌワシといえど絶対という話ではないのだが、そこら辺は土地柄お国柄の違いなのか、よく判っていない。

と言うことで、一部の種を除けば、野生動物といえど人工物を積極的に利用するのである。天敵ともいうべき人の手による人工物とどこまで認識して、背に腹は代えられないとばかりに割り切っているのか、そもそも我々が思うほどは無機物、有機物の別け隔てがないのか、その辺りは定かで無い。

で、我々は今日もまた、視界に入る鉄塔を端から順に眺めることになる..

カテゴリ:猛禽|タグ:,

先日の船津伝次平の記事で、昔の山は禿山状態と書いたが、実はその話は天狗様、つまりイヌワシの生息環境とも密接な関係にある。

イヌワシは晩秋から冬の落葉期と木々の葉が転用する前の春は、比較的谷筋の見通しの良い斜面などで狩りを行う。この時期の主な獲物は、林縁部周辺で採餌活動を行うノウサギやヤマドリを中心に、テンなど中型の生きものであることが多い。

そして季節が進み葉が転用すると、繁殖中であれば主な餌動物がヘビ類に変わってくる。イヌワシは翼開長が2m近くあり、森や林に入ることを得意としないため、谷筋や岩場などの開けた空間を見つけて狩りを行う。この辺りは餌動物の傾向が被るクマタカとはかなり事情が異なる。グライダーのような翼型のイヌワシに対し、クマタカは翼開長が短く翼面も幅広な形状であるため、狭い空間を苦にせず移動することができるのだ。

イヌワシの話に戻るが、繁殖をしていない個体の場合は営巣地に執着しないため、開けた草地の多い標高の高い森林限界付近などで狩りを行う。その昔、それがイヌワシは高山の鳥と言われていた所以だが、そもそもイヌワシは旧北区出身であり、大陸系亜種がステップや亜高山帯を生息地としていることからもそのことは見て取れる。

以上のことから、イヌワシが生息し易い環境というのは、たとえうっぺいした森や林であっても、雪崩草地や倒木によるギャップ、茅場環境など開けた空間が適度に点在する必要性があるということになる。

その点、人為的ではあっても、高標高地の牧場などは草地環境であるため、イヌワシにとっては非繁殖期の狩場としての利用価値が高いことを意味し、恐らくは現状でも狩場として活用するのに適していると思われる。

通常、日本の湿潤な環境下では開けた空間は数年で低木性の植物に覆われてしまい、イヌワシの狩場としてしては使いづらくなってしまうが、先の牧場のような場所は人の手によって手入れが行われるので、継続性の高い狩場が整備されていることになる。その一例として見れば、岩手など東北の高地にワシが多いのにはそんな理由もある。

イヌワシは現状では生息数が減少の一途をたどっているが、これは人が山や森を生活の場として使わなくなったことにも原因の一端があり、実は薪炭林や茅場利用が多く見られた江戸時代から戦前戦後の人為的環境下のほうが、彼らにとっては住みやすかったのではないかと考えられている。

自然を守る=森の木々を伐らない、という図式は実はワシにとってはあまり都合が良くなく、木々を伐採して森を人為的に再生させることのほうがむしろ好ましい..奥山の自然林を伐るという意味ではなく、あくまで人工林の手入れのことを指す..のである。

という理由から、我々がイヌワシの生息地を保全していくために必要な施策は、人が適度に山や森を利用していくことだと考えている。

20151201

今の時期は新たな情報を求めて伐採地ハンターと化す。

先週まで比較的暖かったのだが、今週に入って寒風吹きすさぶ冬らしい雰囲気になってきた。写真の伐採地は林道を上り詰めないとアプローチできないが、上越国境の山々を見ている限り、ここもすでに雪景色になっているだろう。

カテゴリ:猛禽|タグ:

米軍機が演習を理由に、天狗様の生息地内を低空で飛行しているらしい。機影と爆音に驚いて天狗様が逃げ惑ったという情報もあり、オスプレイの横田配備の報もあったばかりで、由々しき問題だと頭が痛い。

同じ航空機でも旅客機などははるか高空を行き交うため、天狗様にとっては見えないに等しいが、軍用機は演習で低空をかすめて飛行するため、機影そのものもさることながら、ソニックブームによる衝撃波の影響はかなりのものと推察する。不安定な岩場に載っている新しい巣などはひとたまりもないだろう。

国防に関わることで、演習そのものをすべて止めろとまでは言わないが、せめて希少な生きものの生息地ぐらいは調べた上で、そこを避けるぐらいの配慮は欲しいものだ。一応、関係グループが代表して然るべきところに申し入れをするということなので、まずはその推移を見守りたい。

米軍機だけでなく自衛隊機もよく飛んでいる
(記事中でF-15と書いているがF-18ホーネットの間違いかな)

山でよく見掛けるといえばヘリもその一つ。遭難救助やその訓練、はたまた某かの調査または測量など理由は色々あろう。が、航空機は一瞬で飛び去るが、ヘリは状況によってはホバリングしてその場に留まるケースもあるので更に始末が悪い。それが強力なダウンフォースを生むオスプレイともなれば..

20150514

今日も谷の中を低空でヘリが行き来しているところに遭遇。横っ腹にハミングバード?らしきものが描かれているが、よくよく見ると機体の名前にはおしどりと書いてある。一体どっちなんだ!?

20150514b

そんな眺めをいつか何処かで見た憶えがと探したところ、あったあったよ屈斜路湖のレジャーボート軍団。ハクチョウなのにコマドリにライチョウ、それにモズだって。なんともよく判らんネーミングセンスだこと(笑)。

カテゴリ:鳥獣・環境問題|タグ: