タンチョウの愛の叫びは春のラブソング。湿原の寒空に遠く響き渡る。
タンチョウはキツネなどの外敵を避けるため、夜間のねぐらを川の中に集団で取る。
この冬はなかなかその川中のねぐらに気嵐が立たないと、常連のカメラマンたちがボヤいていたが、この日は氷点下17度まで下がって一応それらしくなった。
個人的にはダイヤモンドダストを期待していたのだが、さすがにそれは氷点下20度を下回らないと無理だろうね。
雪原に舞う恋の踊りに春を見る。
根室海峡に突き出した砂州の岬を、エゾシカの群れが行進して行く。夜間に積雪の少ない砂丘で採餌して、休息のために内陸に戻るところだ。
餌の少ない厳しい厳冬期、シカたちは毎日この行程を繰り返す。冬を越せずに命を落とす個体も多数いるが、春まで無事に過ごせれば、付近は緑に覆われて餌に困ることはない。
そんな春を待ちわびるシカたちの行進が、荒涼とした景色の中、今日も粛々と行われる。これが北の大地の野生の日常なのだ。
何を想う北のキツネよ。
ワイも反すうしとんねん。反省やないで、反すうじゃ、反すう。女子供とちごうて、男はいつもこうして孤独で寂しいもんなんや。ほっといてんかぁ。
春霜が降りた蕗の薹/昭和村