秋の碓氷峠は紅葉が真っ盛りであった。峠への道すがらにある碓氷第三橋梁、通称「めがね橋」には、平日だというのに観光客が引きも切らずで大賑わいであった。
めがね橋は明治時代の建造物で、信越本線の横川・軽井沢間を結ぶ交通の難所として知られた、碓氷峠の横川寄りに位置する。当時としては最新式である、ラックピニオンを利用したアプト式と呼ばれる方式を用いて、連続した急坂に対応していた。建造には約200万個のレンガが使われており、レンガ造りの橋としては国内最大級の規模とのことだ。
もう使われなくなってから半世紀が経つが、現在は富岡製糸場と並んで世界遺産への登録を目指している、県内の遺物の一つである。昔は近づくのはサルぐらい、人影もまばらであったが、ここ10年くらいで人気の観光スポットになっている。
そう言えば、碓氷峠周辺はサルが多いことで有名だが、近年はシカも増加しており、その影響なのかヤマビル被害の話をよく聞くようになった。近くの妙義山でも同様な状況らしいが、その昔、故あってよく妙義山に通っていたことがあって、その頃は沢奥の限られた場所にしかヤマビルはいなかったと記憶している。観光客が増えるのはともかく、歓迎されない生きものの拡散には困ったものである。