金のかけどころ
ノーベル化学賞に選ばれた旭化成名誉フェローの吉野彰氏の授賞式が話題である。
ノーベル賞に選ばれた日本人は同氏含め過去に25人いるとのことで、東アジアの先進国である中国・韓国に比べても突出して多い。それをもって「日本はすごい!」と騒ぐいつものマスゴミには困ったものだが、そもそもノーベル賞は個人の功績に贈られるものなので、どこの国の人かは関係ないのだが..
いやいや、研究費は国が補助するケースが多い..吉野氏は旭化成なので民間だけど..ので国を挙げて喜ぶのも当然という見方もあろうが、国公立大学の研究予算は年々減らされる一方であり、しかも確実かつ拙速に研究結果を求められるようになって来ているので、中長期的な研究が名目的なお座なりになっているのが現状である。
一見すると何に役立つかわからないような、将来を見据えた基礎研究こそ国の根幹を成す研究であると見定めない限り、ノーベル賞のような国家観に左右されない権威のある評価を受け続けるのは無理な話と知るべしだ。
そもそも今ノーベル賞を受賞している方々の研究自体、それこそ何十年も前から地道に行われてきたもので、昨日今日の話ではないのである。
ひたすら教育費と研究予算をカットし続ける反面、巨額な防衛費や自分たちのお友達や支持者にばかり甘い汁を吸わせている日本の現政権は、金の使い方を根本的に間違えている。与党某議員の言葉を借りるならそれこそ恥を知ったほうが良い。
近年の各方面の学会などに発表される研究論文は、潤沢な予算に支えられている中国の研究者が圧倒的と伝え聞く。「昔は日本人もノーベル賞もらったことがあるんだよ」という昔語になってからでは遅いのである。
冬枯れて木々の葉が落ち、森の中を歩くには良い季節となった。
落葉樹主体の森をガサガサと落ち葉を踏みしめて歩くと、カシラダカやツグミが灌木の茂みから飛び立ち、リスが慌てて近くの木に駆け上がる。
沢沿いの杉林近くの林縁では、長い尾羽根を見せつけるようにドドドッという重低音の羽音を響かせてヤマドリが飛び立ち、大きなホウノキの根元に隠れるように降り立つ。
しばらくその場所を双眼鏡で凝視するが、結局見つけることは叶わなかった、そんな暖かい午後のひととき。