高原を吹き抜ける新緑をまとう初夏の風に、林道脇の山桜が枝を揺らし花を散らす。
山際から萌黄の光が差し込むと、散り行く花びらに命が灯るかのように輝いては消え、やがて地を覆ってゆく。
風が吹くたび、川辺を舞う蛍が放つ明滅のようなその刹那の輝きは、繰り返される季節の営みを約束するものだ。
さあまた来春に逢おう。