薄い足袋
2019/1/25
大寒を過ぎたばかりのこの時期、厳しい寒さの中で虫たちの活動はほぼ停止中であり、小鳥たちが動物食をあきらめてヒマワリの種に挙って群がることからも、その辺りの事情は見て取れる。
雑木林に入って朽ち木でも漁れば、それこそ様々な状態で越冬を試みる虫たちを見つけられることは知ってはいるが、虫屋ではないのでそこまで無粋な真似はしない。
FUJIFILM X-H1 / XF35mm F1.4 R / CLASSIC CHROME
そんな色のない冬の林内、遠目にも意外に目立つモスグリーンを発見。何かの繭だろうとは想像つくが、門外漢なので撮影してから後で調べると、ウスタビガというヤママユガの仲間だと判明。
漢字では「薄足袋我」と書き、枝からぶら下がる繭が足袋に似ていることからその名が付いているとのこと。
ただ、よく調べてみると繭で過ごすのは夏の間で、羽化するのは秋から晩秋にかけてらしいので、この時期に繭であることは成虫になれなかった可能性が高い。
FUJIFILM X-H1 / XF35mm F1.4 R / CLASSIC CHROME
こちらはまた別の場所で見つけた種不明の繭。
繭というある種の命のゆりかご的なシェルターに包まれていようとも、外からでは生きているのかどうか定かではない。それに、シジュウカラなど小鳥が繭を突付いて中の蛹を食べているシーンをよく見かけるので、生き延びられない理由は寒さだけではあるまい。
何か一つでも歯車が狂えば簡単に命を落とすのが自然界だ。いや、想定外のことが起きることすら織り込み済みなのが生態系なのかもしれない。