お見合い
2018/10/8
伐採地の縁を歩いていたら、突然シカの親子と鉢合わせ。こちらは斜面上部から下方を見ていて、あちらは向こう側を向いていたため、双方とも発見が遅れた。
子ジカはセオリー通りに飛ぶようにすぐに森に逃げ込んだが、母ジカのほうは好奇心なのか恐怖心なのか、こちらを眺めたまま固まってしまった。
すると突然、近くにいたハシブトガラスが母ジカの背中に飛び乗って、尻の辺りの毛をむしり始めたのである。
シカは危険を察知すると周囲の仲間に注意喚起するために、尻周りの毛を逆立てて白く目立つように見せる。飛び跳ねながら逃げる際、後ろ姿がやけに白く目立つのはそのためである。
鳥は卵や雛を守るために、獣毛の類を産座に敷くことがあるが、この時期はもう子育ては終わっているので、カラスがそれ狙いではないことは明白である。眼の前にいたシカが突然尻の毛を逆立てたのを見て、イタズラでもしようとしたのかもしれない。
当の母ジカはカラスが毛をむしる度に気になって後ろを振り向くが、それより眼の前にいる人のほうも気になるしで、どうして良いやら逡巡しているようだった。
LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
お見合いは長かったように思えたが、シャッターは5枚しか切れてないので、30秒も経ってなかったようだ。結局母ジカも一声だけ警戒声を発してから、踵を返して森の中へと消えていった。
そしてカラスは素知らぬ顔で、次の遊び相手を探し行くかのようにゆっくり旋回しながら空の高みへと飛び去っていった。