いつかはライカ
社会人になって車に乗り出した頃、「いつかはクラウン」という言葉が流行ったことがある。もちろんトヨタのCMでのキャッチコピーだが、確かナレーションは石坂浩二だったように記憶。
今でこそ同社のハイエンドはレクサスだが、当時流行ったハイソカーの頂点はクラウンで、会社の同僚や先輩もこぞってクラウンを目指す雰囲気に満ち満ちていたように思う。ま、それがいわゆるバブル経済真っ只中ってやつだw
カメラは職業カメラマン的には仕事道具であるが、スマホで誰しも自在に撮影ができてしまう現代においては、もはやカメラ自体が家電などと同じで一般人にも普通に馴染みのあるプロダクツであろう。
ただ、高度経済成長時代がそれにあたるカメラ黎明期では、どちらかと言うと高価な嗜好品として扱われていて、その頃の名残でドイツの名門ライカはそのブランド力を現在においても維持しているのは素直にスゴイと思う。
それこそ先のハイソカーになぞらえれば、「いつかはライカ」というのは今でもカメクラ界隈には十分通ずるものがあるようだ。
個人的にフィルムカメラ時代の後期にR型ライカを使っていたことがある。APO-MACRO-ELMARIT-R(通称AME)の溶けるようなボケにあこがれて手を出したのが運の尽きで、その後は沼へ落ちてしまったのは言うまでもないw
時期的にちょうどハイビジョンのDVカメラで動画の仕事をするようになった頃なので、最後のほうはマウントアダプタを介してNew F-1に付けたり、逆にFD500をR6.2に付けたりして遊んでいたな。
なんで突然ライカの話になったのかと言えば、先日カメラ好きのクライアントの担当者からライカには興味ないの?と聞かれて、おっとそう言えばと思い出したという流れだったりするw
そのライカの話というのが、先日発表された4000万画素のM型ライカM10-Rのことで、お値段はなんと税込み105万円なり。
今どきAFはできない、8Kどころか当然のように動画撮影にも対応していないという前時代的な仕様のデジタルカメラに、百万円も値付けできる強気のマーケティングはさすがのブランド力といったところ。どう逆立ちしても国内のカメラメーカーには真似できないな。
今となっては不便さを前面に押し出したようなレンジファインダーのMFカメラでは、こちらが狙っているものが撮れないのでそっちの世界観に浸るつもりはさらさらなく、ライカはライカでもパナライカ止まりwがせいぜいで、そもそもお金を生み出さない機材は今の拙者の価値観の外だったりする。
しかしそう考えるとだ。同じ百万の値ごろ感で言えばやはりブラックマジックデザインのURSA Mini Pro 12Kは安いと考えてしまう自分が怖い。
動画の撮影と映像制作を主な生業としていた10年前なら、迷うことなく手を出している姿が目に浮かぶぞw