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FUJIFILM X-H1

2018/3/7

これまでX-Pro2やX-T2など、これぞカメラ然とした風情のクラシカルなデザインが特徴だったフジのミラーレス一眼だが、ここに来てマーケットをいわゆるニッチなフジファンより外へと広げようとしているようだ。

先日発売されたX-H1は、昨年発売の中判ミラーレス機GFX50Sと路線を同じくしており、趣味性の高いものからより実用性重視に振ったモデルに仕上がっている。

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

噂では早くもX-T2の後継機か?などと言われていたが、蓋を開けてみればまったく別のニューカマーである。ファインダー部の形状とフジのカメラとしては異様に大きく目立つグリップが、パッと見はGFX50Sを思わせる意匠だ。

フジはX-Pro2とX-T2でダブルフラッグシップと言われていて、X-H1の登場でトリプルフラッグシップになるのかという話もあるが、そもそもフジのカメラはベイヤーを除くX-Transセンサーを使うモデルには画質面でのヒエラルキーが存在しない、稀有なメーカーである。画質面に性能差を付けず、それぞれに特徴的な意匠やそれに見合うメカやギミックを搭載することで、様々なユーザーニーズに応えているのである。

そういう意味でX-H1は今までのフジのユーザー層よりは、どちらかと言えばこれまでフジのカメラに興味を示してこなかった他のメーカーのユーザーや、ハードな業務で使うプロユーザーの取り込みを狙っていると思われる。

APC-C機としては大柄と言われるX-T2だが、フルサイズ機に比べれば容積も重量も小さく軽い。が、デザインを重視しているせいで、XF50-140やXF100-400など大柄な望遠系レンズを装着した際に、どうしてもバランスが悪くなってしまうのが難点であった。特に長年C社のEOSを使ってきた身からすると、グリップ部が無いのがいただけない。特にXF100-400との組合せでは、ボディ側のマウント部の剛性が低いのがよく判るのだ。

X-H1はそういったヘビーユーザーからの要求、つまりはプロユースを意識した造りになっているのが特徴である。もともとX-T2は防塵防滴耐低温で定評があったが、シーリングの数を増やしてさらに耐候性を高め、塗装も引っかき硬度は従来比の二倍のコーティングとのこと。握りやすさを目的として突出した大型のグリップを設けたり、ボディの厚さをX-T2に比べて最大25%アップして、特にマウント周りの剛性を高めている。

そういったヘビーデューティさを追求した結果、X-T2より大きく重くなったため、ミニマムな高性能ミラーレス機を求めていたコアなフジユーザーにはどうもコレジャナイ感が漂っているようだが、グリップ部を含めない比較では実は思ったほどサイズアップしているわけではない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

X-T2との比較。もちろん全体的に大きくなっているのは確かだが、グリップ部を見なければさほどでもないのである。それより保持した時の剛性感が半端なくイイ感じである。

FUJIFILM X-T2 / XF16-55mm F2.8 R LM WR

ついでにG9 PROとも比較してみたが、これがまたサイズ感がまったく同じなのである。どうも性能を追求していくとこの程度の大きさは必要になるかもしれない。

GH5も同様だが、両機に共通していることとして、ボディ内手ブレ補正と4K撮影の放熱用にヒートシンクを内部に実装しているので、従来機に比べれば厚みが増すのは致し方ないことだろう。