タグ : イヌワシ

雨は少し前に上がっていて、もしかして西陽が入るかと撤収せずに待機していると、谷間からガスが巻いて立ち昇り、そこにタイミング良く陽が差し込む。神々しいなどとは風景写真家がよく使う言い回しで陳腐だが、現場にいれば言い得て妙ではある。

写真は撮る技術以上にそこに居合わせるという運のようなものも必要だろう。もっと言えばその運を引き寄せる事前の下調べ、それに勘所も必要だろうね。

などと書くと、さも景色を撮っていたように聞こえるが、別に美しい景色を狙っていたわけではなく、天狗様の観察で見晴らしの良い林道に上がっていた結果論だが、実はこの話で本当にグッドタイミングだったのは、一度稜線の向こうに消えていたアノ人が戻ってきたこと。

この時間帯に谷の奥へと入っていくのは大抵ねぐらへ向かうことが多く、ほぼ戻ってくる可能性は低いのだが、目の前の景色が前述のとおりだったこともあって、待機していたことが2つの偶然を生んだことになる。

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR

中央付近の小さな鳥影がアノ人。当然、4K超望遠で動画も楽しい絵を撮らせてもらった。

カテゴリ:猛禽|タグ:

岩手北上高地のイヌワシ(英名:Golden Eagle)が、今まさに存亡の危機にある。

本来エコを目指すべき自然再生エネルギー開発の名のもとに、ニホンイヌワシという絶滅危惧種の生息地そのものが脅かされそうとしている。

北上高地は、国指定の天然記念物でもあるイヌワシの国内でも有数の生息地である。その生息地内に数十基もの巨大な風車タワーが建設されれば、2008年に国内初のイヌワシ衝突死を起こした釜石風発の二の舞いが懸念され、バードストライク問題の再発を予見せざるを得ない。

ニホンイヌワシの岩手個体群の消失を止めることは、無機質な風車が回り続ける異様な光景から、イーハトーブの故郷を守ることにほかならない。

Save the Golden Eagles, Save the Ihatov.

天気が下り坂で、今日の東京はどんより曇り空。そんなこんなで、関係省庁に意見書を提出すべく、終日霞が関巡りであった。

この年末の忙しい時期、我々の切実なる思いに、イヌワシの未来に、真摯に耳を傾けてくれた関係者にまずは感謝したい。

日本イヌワシ研究会:(仮称)宮古岩泉風力発電事業」に対する意見書

某国営放送はこともあろうに、生きもの系の看板番組であるワイルドライフでもやらかしてくれた。

今週はイギリス北部のスペイ川の話で、ストーリーはサケを中心としたものであった。スコットランドが舞台ということもあって、天狗様が出るのではないか期待していたところ、ユキウサギの場面で空からの捕食者として登場した。

が、確かにユキウサギのシーンの前後に繋いだ個体は若いイヌワシであったが、最後に飛び去るシーンでは思いっきりオジロワシの若鳥であった。オイオイそれはちゃうやんけとツッコミの後、さすがにこれは許せんとばかりに前橋放送局..何故前橋だ(笑)..に文句を言おうとしたが、そこは大人げないので止めておいた。

イギリスの話だったのでいつものようにBBC辺りから買ったのかと思ったが、エンドロールを見る限りBBCではなかった。天狗様本家のお膝元であるBBCでそんなミスはないだろうから、日本語訳の段階で間違えたか、そもそもメタデータが間違っていたか。何やってんだかねぇ..

20160308

今日は日中は暖かかった、いや、暑かったというべきか。この季節はまだ手放せないアンダーウエアも、今日はさすがに必要なかった。

朝のニュースで東京は朝霧に包まれていたが、それは利根沼田も同じ。赤城高原から下は雲海の底に沈んでいた。

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イノシシやシカなど野生動物は人の匂いには敏感で、猟師の仕掛けたワナに露骨に人の匂い付いていたりするとすぐに見破るという。

しかし人工物などは抵抗なくむしろ積極的に利用しているフシがある。タヌキは廃屋を、ハクビシンやムササビは山小屋や神社仏閣などを、ツバメやスズメなら人が住んでいる家に巣を造るといった具合に。

ハヤブサの仲間が都市部の高層建築物に営巣する例は世界的にも以前から知られているが、同じワシタカなど猛禽類には人工物を積極的に利用して生活している種が多い。

トビなどは休息のために鉄塔..高圧線の支柱や橋の欄干、携帯アンテナなど..によく留まるが、オオタカやハヤブサそれにノスリなどは、ハンティング行為の一部として探餌を行う際に頻繁に鉄塔に留まる。営巣地が近ければ誇示行動の一部でも同様だ。

ワシタカの仲間は、飛びながら餌を探すタイプと待ち伏せして餌を探すタイプに分けられる。例として挙げた鉄塔の類を利用するのはどちらかと言うと後者に多く見られ、チュウヒなど草原性のタカはほとんど鉄塔などに留まることはない。

もちろん何事にも例外はあり、ハイタカ属のハイタカやツミはオオタカほどは人工物に留まることは少ない。同じ待ち伏せ猟をするにしても、目立つ場所に留まるのではなく、どちらかと言うと雑木林の林縁部など枝先でひっそりと探餌することが多いようだ。

20160302

山間部を通る高圧線の鉄塔に留まって探餌するクマタカ。

クマタカは日本産のタカの仲間では最大で、その昔は深山幽谷にすむ希少な生きものと考えられていたが、実際は意外に人里周辺でも生活していることが知られている。

さらに鉄塔大好き猛禽と言っても言い過ぎではないほど、鉄塔に留まる姿を季節を問わずよく見かける。餌を探すのも鉄塔、巣を見張るのも鉄塔、交尾をするのも鉄塔、休息するのも鉄塔だったりして、まったく人工物に頓着しない..ただしダムやスキー場などの構造物にはほとんど近づかない..性格なのである。

これに対して徹底的に人工物を嫌うのが天狗様ことイヌワシだ。テリトリー内の見晴らしの良い場所に探餌に都合の良い鉄塔が立っていても、わざわざ近くの尾根上の枯松に留まっていることが多い。

北米のイヌワシには風発の風車に留まる強者がいるらしいので、イヌワシといえど絶対という話ではないのだが、そこら辺は土地柄お国柄の違いなのか、よく判っていない。

と言うことで、一部の種を除けば、野生動物といえど人工物を積極的に利用するのである。天敵ともいうべき人の手による人工物とどこまで認識して、背に腹は代えられないとばかりに割り切っているのか、そもそも我々が思うほどは無機物、有機物の別け隔てがないのか、その辺りは定かで無い。

で、我々は今日もまた、視界に入る鉄塔を端から順に眺めることになる..

カテゴリ:猛禽|タグ:,

先日の船津伝次平の記事で、昔の山は禿山状態と書いたが、実はその話は天狗様、つまりイヌワシの生息環境とも密接な関係にある。

イヌワシは晩秋から冬の落葉期と木々の葉が転用する前の春は、比較的谷筋の見通しの良い斜面などで狩りを行う。この時期の主な獲物は、林縁部周辺で採餌活動を行うノウサギやヤマドリを中心に、テンなど中型の生きものであることが多い。

そして季節が進み葉が転用すると、繁殖中であれば主な餌動物がヘビ類に変わってくる。イヌワシは翼開長が2m近くあり、森や林に入ることを得意としないため、谷筋や岩場などの開けた空間を見つけて狩りを行う。この辺りは餌動物の傾向が被るクマタカとはかなり事情が異なる。グライダーのような翼型のイヌワシに対し、クマタカは翼開長が短く翼面も幅広な形状であるため、狭い空間を苦にせず移動することができるのだ。

イヌワシの話に戻るが、繁殖をしていない個体の場合は営巣地に執着しないため、開けた草地の多い標高の高い森林限界付近などで狩りを行う。その昔、それがイヌワシは高山の鳥と言われていた所以だが、そもそもイヌワシは旧北区出身であり、大陸系亜種がステップや亜高山帯を生息地としていることからもそのことは見て取れる。

以上のことから、イヌワシが生息し易い環境というのは、たとえうっぺいした森や林であっても、雪崩草地や倒木によるギャップ、茅場環境など開けた空間が適度に点在する必要性があるということになる。

その点、人為的ではあっても、高標高地の牧場などは草地環境であるため、イヌワシにとっては非繁殖期の狩場としての利用価値が高いことを意味し、恐らくは現状でも狩場として活用するのに適していると思われる。

通常、日本の湿潤な環境下では開けた空間は数年で低木性の植物に覆われてしまい、イヌワシの狩場としてしては使いづらくなってしまうが、先の牧場のような場所は人の手によって手入れが行われるので、継続性の高い狩場が整備されていることになる。その一例として見れば、岩手など東北の高地にワシが多いのにはそんな理由もある。

イヌワシは現状では生息数が減少の一途をたどっているが、これは人が山や森を生活の場として使わなくなったことにも原因の一端があり、実は薪炭林や茅場利用が多く見られた江戸時代から戦前戦後の人為的環境下のほうが、彼らにとっては住みやすかったのではないかと考えられている。

自然を守る=森の木々を伐らない、という図式は実はワシにとってはあまり都合が良くなく、木々を伐採して森を人為的に再生させることのほうがむしろ好ましい..奥山の自然林を伐るという意味ではなく、あくまで人工林の手入れのことを指す..のである。

という理由から、我々がイヌワシの生息地を保全していくために必要な施策は、人が適度に山や森を利用していくことだと考えている。

20151201

今の時期は新たな情報を求めて伐採地ハンターと化す。

先週まで比較的暖かったのだが、今週に入って寒風吹きすさぶ冬らしい雰囲気になってきた。写真の伐採地は林道を上り詰めないとアプローチできないが、上越国境の山々を見ている限り、ここもすでに雪景色になっているだろう。

カテゴリ:猛禽|タグ:

米軍機が演習を理由に、天狗様の生息地内を低空で飛行しているらしい。機影と爆音に驚いて天狗様が逃げ惑ったという情報もあり、オスプレイの横田配備の報もあったばかりで、由々しき問題だと頭が痛い。

同じ航空機でも旅客機などははるか高空を行き交うため、天狗様にとっては見えないに等しいが、軍用機は演習で低空をかすめて飛行するため、機影そのものもさることながら、ソニックブームによる衝撃波の影響はかなりのものと推察する。不安定な岩場に載っている新しい巣などはひとたまりもないだろう。

国防に関わることで、演習そのものをすべて止めろとまでは言わないが、せめて希少な生きものの生息地ぐらいは調べた上で、そこを避けるぐらいの配慮は欲しいものだ。一応、関係グループが代表して然るべきところに申し入れをするということなので、まずはその推移を見守りたい。

米軍機だけでなく自衛隊機もよく飛んでいる
(記事中でF-15と書いているがF-18ホーネットの間違いかな)

山でよく見掛けるといえばヘリもその一つ。遭難救助やその訓練、はたまた某かの調査または測量など理由は色々あろう。が、航空機は一瞬で飛び去るが、ヘリは状況によってはホバリングしてその場に留まるケースもあるので更に始末が悪い。それが強力なダウンフォースを生むオスプレイともなれば..

20150514

今日も谷の中を低空でヘリが行き来しているところに遭遇。横っ腹にハミングバード?らしきものが描かれているが、よくよく見ると機体の名前にはおしどりと書いてある。一体どっちなんだ!?

20150514b

そんな眺めをいつか何処かで見た憶えがと探したところ、あったあったよ屈斜路湖のレジャーボート軍団。ハクチョウなのにコマドリにライチョウ、それにモズだって。なんともよく判らんネーミングセンスだこと(笑)。

カテゴリ:鳥獣・環境問題|タグ:

鷲瞰図

2014/10/6

GoPro HERO4はとうとう4K30Pまで到達してしまった。4Kで30Pはいわゆるナンチャッテ4Kに他ならないが、あの大きさであっさり実現されると、肩を並べられたm4/3一族最大サイズのGH4の立場は何処へ(笑)。

アクションカムの名の通り、1080/60PがGoProの本来の立ち位置だろう。さらに720ながら120Pがイケるので、地上波ならハイスピード撮影もバッチリOKだ。というか業界的には待ちに待ったスペックだろうね。やはり激しく動く状態..GoProは動くものを撮るカメラではない..で撮影するなら最低でも60Pは必要だから。

しかもSilver Editionには背面にタッチ操作可能な液晶モニターまで搭載。スマホがあればWi-Fiで飛ばせるとはいえ、この辺りはバッテリーの持続時間との兼ね合いもだろうが、ある無いでは雲泥の差がある撮影分野もあるので、その恩恵はいかばかりか。

そして、いつも楽しませてくれるGoPro映像だが、とうとう天狗様にも背負わせたくれた。

小型のハヤブサなどでは激しく羽ばたくせいもあってバタバタする映像も、大型のワシになるとさすがにビタっと安定して映るのはさすが。流行りのドローン映像もさることながら、やはり鳥自身に背負わせて撮ってもらうのには敵わないね。これこそまさに鳥瞰ならぬ鷲瞰図だ。

さらに天狗様ではないがオマケを2つ。

風切り音がイイね!

 

20141006

今日は午前中は雨模様であったが、台風18号はあっという間に通り過ぎて行ってしまって、お昼には晴れて暑さがぶり返してきた。明日からは秋晴れに戻るようだが、すぐまた19号がやって来るようで外ロケは頭が痛い。

春山

2014/4/13

20140413

この春も山神様に会いに雪山へ。

残雪期ならではの眺望は実に美しく、疲れも忘れる眺めの中、時折頭上を東へと飛び去るサシバの春の渡りを追いつつ、天狗様の背中を見下してきた。

積雪量はやはり里同様に例年よりは多く、久しぶりにアイゼンを引っ張り出しての登山であった。遠望する上越国境の稜線には、春山を楽しむ登山客の姿も多数見られ、春の登山シーズンの始まりを感じた。

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20140107

赤城高原のこの冬一番の冷え込みは今朝であった。日の出前に氷点下12℃まで下がって、犬の水バケツは完全氷結である。昨日のような風もなく、雲ひとつ無い放射冷却によって、上越国境の山々が見事なモルゲンロートに映えた。1月に入り厳冬のシーズンを迎えるが、それは凛とした美しい季節でもある。

20140107b

そして北部フィールドも雲ひとつ無く晴れ上がり、絶好のワシ日和に。風がなく上着も必要ないほど陽射しがあったが、風がないということは天狗様の行動にも影響が出そうなもので、午前中は例のごとくクマタカ相手に暇つぶし。が、昼頃より突然の天狗フィーバーに沸いて、久しぶりに昼飯のカップラーメンが倍返し状態であった。

雄がゆっくり先行し、やや遅れて雌が後追い。突然雄がジグザグに反転と降下を繰り返しつつ獲物を牽制、緩斜面の疎林に突っ込むと見せて急上昇すると、すかさず雌がフォローに入って同様の動きを繰り返す。ペアで連携してハンティング行動を行うのは、猛禽類の中でも天狗様独特のものだ。ペアのどちらかが入れ替わってすぐにはなかなか難しい動きだが、シーズンを幾つか過ごせば息もぴったりである。

厳冬期と聞けば生きものにとって厳しい世界を想像するが、捕食者として食物連鎖の頂点に立つ天狗様が狩りを行うということは、その姿は見えずとも、狙われ食われる側の餌動物たちも必死に生きている証となる。厳冬に息づく生きものたちの気配を感じたいものだ。

天高く

2013/9/30

20130930

額の汗を拭い、最後の急登を前に一休み。明日から天候は思わしくないらしいが、どうしてどうして本日は空が高い。しかも月末携帯不通だ(笑)。

目を凝らせば県境付近の二千m前後はすでに紅葉が始まっている。

ふと気が付けば、早々と天狗様の姿を確認。ただ、機材はバックパックの中だし、準備には一手間掛かる。ここは双眼鏡でのんびり行方を追う。

20分ほどで残りの急登を登り切り、撮影機材をセットして、待つこと更に1時間。今日は天気同様にワシ運もよく、頻繁に狩場とする伐採地に親子3羽で姿を見せた。

そう、1日いてたった5秒の目視で終わることもあれば、こんなフィーバーなこともある。

日本で最も広い行動圏を持つ生きものを相手にするということは、この現実を避けては通れない。

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