西上州の冬の山並み
上信越国境を越えて関東平野の西隅にからっ風が吹き下ろす季節の到来である。
夏の間、湿気とヘイズに満たされていた大気の透明度が徐々に増して、上州近県は言うの及ばず遠く富士山まで望めるようになった。
冬型の気圧配置の影響で荒れる日本海側の気候に左右される北毛と違って、平野部の県南はこれから春先まで快晴となる日が多い。
そんな県南の冬場は天狗様観察にも適した季節でもある。
秩父山地のその向こうに富士山が顔を覗かせる。
県内である程度の標高に上がればそれなりに富士山を見ることは可能だが、そこはやはり夏場のそれとは違って今のほうがクリアに見ることができる。
妙義山と荒船山、そしてその奥には八ヶ岳連峰を望む。八ヶ岳は長野の山だが、高崎周辺からも意外に見えている。
奇峰奇岩の山である妙義山と、その奥には奥秩父の山々が望める。
妙義山は海底隆起と風雨による侵食活動で現在の山容となっているが、もともとはれっきとした海底火山が形成したものだ。