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林野庁の調査によれば、ブナの結実予測ではこの秋は不作なんだそうだ。もっとも昨年は数年の一度の豊作年だったので、この春の調査結果を聞かずとも素人にもその辺は予想がつく。

この手の話がある度に書くことだが、そもそもクマはブナの実だけを好物として食べているわけではない。基本的に何でも食べる雑食である。クマはその時、沢山ある食べ物を、集中的に食べる傾向が強いため、苦労して探しまわった果てに見つけた食べ物に強く執着するのだ。

夏の終わりから秋にかけて、人里に「出没」するとか、大量「発生」するとかの表現をよく耳にするが、クマにしてみれば餌探しの過程でたまたま通りがかり、偶然?そこに食べ物があったので食べていますって感じなのが実情だ。地域によって当然その食性は異なるが、人里周りで柿の実が熟れていれば柿の実を、山際にクリがなっていればクリの実を、山中にドングリが結実していればどんぐりを、養魚場にマスが泳いでればマスを、川にサケが遡上していればサケ(これは特殊な例だが)を、あればあったなりに腹一杯になるまで食べるのである。

何が言いたいのかといえば、すべてのクマがブナの実を欲して動き回っているのではないということだ。クマの食性と餌資源となる植生とは必ずしも一致しないのである。それをステレオタイプに、時にセンセーショナルに騒ぎ立てるのは見ていて滑稽でさえある。

20140922

先週末にちょっと風が強く吹いた影響だろう、農道上に青どんぐりが散乱していた。ブナだけでなくドングリも凶作に近いような話を聞くが、赤城高原では例年とそう変わらない。赤城高原は戦前より開拓で人が入っていたため、薪炭林やほだ木として活用された名残でコナラが多く見られる。写真のドングリもコナラのものだ。

クマがドングリを食べると聞いて、林床に落ちた茶色の成熟したドングリをイメージする人が多いが、クマが好んで食べるのは写真のようにまだ青いドングリである。夏から秋にかけて、ミズナラやコナラなどに登って青ドングリを枝から直接食べるのである。もちろん落ちたドングリも食べるが、まだ枝についた青いうちのほうが水分があって柔らかく、クマにとっては美味いはずである。

ちなみにその青ドングリを食べる過程でバキバキと枝を折って手繰り寄せ、食べ終わると尻の下に敷いて、という動作を一箇所で繰り返し行うため、クマがしばらくいた場所には枝が折り重なってまるで鳥の巣のようになることがある。実際そこでそのまま寝てしまうクマもいるため、それをクマ棚と呼んでいる。

まだ緑が濃い時期にクマ棚を探すのは難しいが、晩秋になって森が落葉し始めると簡単に見つけることができる。青葉がついた状態で枝を折られると、落葉期になっても折られた枝の葉は落ちずにそのまま枯れるため、遠目にも目立つのだ。

団栗小道

2013/10/10

20131010

一昨日辺りだったか、台風接近の余波でそこそこ強い風が吹いていたが、そのせいかいつになく大量のドングリが落下していた。ほとんどはコナラだが、一部はミズナラも混ざっている。

そんな落ちドングリを、クマにシカにタヌキ、リスにカケスと首を長くして待っていた連中がわんさといるので、一週間もすれば綺麗に片付いてしまうだろう。野生の生きものにとって、栗と並んでドングリは重要な秋の味覚なのである。

もちろんうちの駄犬も大好物。ご主人様がああでもないこうでもないとアングル変えて撮影してる背後で、カリッカリッと良い音させて拾い食いしている。ただ犬は臼歯がないので、食べるのにはそれなりに難儀しているようだが。

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クマが出た

2012/10/17

んだそうだ。それもうちの組内の班長の家で。

なんでも、このところずーっとイノシシに畑を荒らされていて、堪忍袋の緒が切れたとかで、有害駆除申請したんだそうだ。

さっそく猟友会がやって来て、畑の際に捕獲檻を設置して一週間ほど様子を見たところ、目的のシシでなくクマが掛かっていたらしい。そこで何より驚いたのは倅のヨメさんだろう。アプローチ路を探ったところ、小中学、保育園と子どもがフルセットいて、その彼らが日常的に出入りする場所を、クマは行ったり来たりしていたと言うのだから。

連絡もらったときは打ち合わせ中ですぐ抜けられず、あとで結果だけ聞いたのだが、体長は1mほどの60kg少々の若いオスだったとか。動物との共生を目指す我が村、いや、見つけ次第片っ端から駆除する我が村としては、当然のごとく若きクマは哀れ殺処分の運命に。

聞き取り含めちょっと調べたところ、クマの目当ては畑にすき込まれた未収穫のトウキビ。そう、つまりクマはシシの身代わりになって死んだのである。皮肉にもその当日の騒ぎでだいぶ人の匂いが残ったのか、シシによる畑荒らしはその後は止まっているようだ。

捕まえたクマにトウガラシスプレーなど吹きかけてお仕置きを施し、山奥に連れて行って再放獣する奥山放獣が今のトレンド。されど人的資源も無ければ予算も無い。無い無い尽くしで、何よりその気が無いのが一番問題。それに奥山と一言で言っても、我が村の奥山は赤城山であり、その奥山のさらに奥山は観光地だったりして、結局どこか余所の市町村に放すしかないのである。

でもそれを受け入れてくれる自治体など、同じ郡内といえどそう簡単に見つかるわけもなく、やはりここは県が重い腰を上げて仲介するなりビジョンを示す必要があると思うのだ。せめて農業被害を名目に、たまたま罠に掛かってしまって面倒だからと殺処分の憂き目にあう、そんな運の悪いクマだけでも何とかならんものか、ふと、我が家のコナラのドングリをみてそう思うのである。