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発想の逆転

2014/10/4

先日、デジタルカメラになってから有限であることを意識しなくなったと書いたが、正確には、決められた容量の記憶メディア..今どきはSDカードやコンパクトフラッシュなどフラッシュメモリー..を使う限り、そこにはやはり上限はある。

ただその記憶メディアも、一杯になったら古いデータや必要ないデータを消せば、その分の再利用は可能である。この点もデータ領域を自由に上書きできるデジタルならではの恩恵であろう。もちろん間違って消してしまうというトラブルも耳にするが、それはあくまで使う側の問題である。

瞬間を捉える写真と異なり、動画は一定の時間軸を記録し続けることになるため、写真より多くのデータ量を必要とする。それが4Kであれば尚更であり、写真よりはさらに上限が低くなることを意味する。

その動画である瞬間を捉えたいのであれば、そこを狙ってピンポイントで記録すれば良いが、必ずその事象が発生する確約がない場合は、その前後の状況から撮影者が判断するしか無い。ただ、瞬間を狙うのでなく状況を記録するだけならば、ある時点で古いデータを消去していけば、理論的にも物理的にもある一定時間だけをほぼ永遠に記録していくことができる。そしてその典型的な例が監視カメラだろうか。

刑事ドラマなどで、犯人を割り出すのに監視カメラの映像から人物を特定するシーンがあるが、あれは現実世界でも日常的な方法である。もちろん、徐々にズームアップしていって、最終的に鮮明な画像になるなどという都合のいいことはあり得ない(笑)..最初からありもしない画素を作り出すことなで不可能..のだが、動画から静止画を切り出して使うという一つの例ではある。

その発想をそのままGH4に組み込んだ..かどうかはパナに聞いたわけではないので判らんが(笑)..のが、先日のバージョンアップで追加されたループ記録機能である。これはバッテリーが続く限り、常に最新の12分間を記録することができるので、捉えたい瞬間を撮影者が選んで記録するのではなく、記録したあとから選択できる機能..それは動画としても静止画としても..ということになる。そんなものは動画または写真でないとこれまた原理主義者から怒られそうな話だが、昨日の記事同様に、撮ること記録することに大きな意味がある分野であれば、これは大いに利用価値がある機能なのである。

例えば、岩場や樹上に止まる天狗様の飛び立つシーンを撮る場合、常であれば目を離すことなくその姿を目視して、状況を判断して録画スタート・ストップを繰り返す必要がある..しかも不要なデータは消す必要がある..が、外部バッテリーを使った上でループ記録機能を利用すれば、そのすべての手間から開放される上、チャンスをものにする角度が格段に向上するのだ。一部の業務用カムコーダーには、録画開始時点の数秒前から記録できるPre Recなる機能があるが、GH4のループ記録機能はそれよりもさらに現実的な機能といえる。

今回のパナのバージョンアップは、これから起きることを撮るのではなく、起きたことを記録していた、そんな発想の逆転だろうか。どんなにミラーの動作を早くして、秒間の撮影可能コマ数を多くしても、時間軸をまるごと記録することには敵わないのだ。


20141004

村の用事で村内を走っていると、100mほど離れていたが、先に気づいたシカが小走りに走って行くのが見えた。双眼鏡で見て1尖のまだ若い雄ジカと判ったが、珍しく1頭だったようだ。そろそろラッティングコールの響くシカの季節である。

余談だが、上の写真を見てシカがどちらに向かって走っていったか判るだろうか。それが判るようにわざと写しているのだが、結構昔に記事にしているので、古くからうちのブログを見ている人なら判断つくかもしれない。動物を美しく撮るカメラマンはいるが、こういった生態行動についてはまったく知らない、判らない人が結構多いものだ。

ちょっと前に関係者に聞いたのだが、うちの裏山(赤城山)で県がシカ駆除用に囲いわなを仕掛けるらしい。前橋市が協力ということで、旧富士見村周辺など南面側のようだ。囲いわなと言っても高さ2.5mで周囲が500m近くあるので、見た目は養鹿場のようになるだろうか。カウンターを装備したゲートを設けて、一定数に達するとゲートが自動的にロックされ、一網打尽になる仕掛けだ。

県内に限らず、もはやシカによる森林や農作物への被害が看過しておけない状況にある。ある程度の数まで増えれば逆に個体数は自然減になるのは間違いないが、その前に山と耕地が荒れ果てるのは必定である。猟師の手で1頭ずつ間引きなどというのは手ぬるいので、一定数を一気に捕獲して駆除するしかないだろう。先の囲いわなはその一つの手でもある。

県北では、日光の足尾周辺から県境を超えてシカが行き来しているのが、捕獲して発信機を付けた個体の行動から明らかになっている。貴重なシラネアオイが食害されている日光白根山周辺や、ミズバショウやニッコウキスゲ、ミツガシワなどが被害にあっている尾瀬周辺も対策は急務だ。夏を彩っていた湿原の花々の被害は、放置しておけば取り返しがつかなくなる。微妙なバランスの上に成り立って形成される自然環境は、一朝一夕に植生回復など見込めない。

シカを捕食する肉食獣が国内にいない以上、人の手で対処するしかないのが現実だ。北米の例を上げてオオカミを放せなどと寝言を言っている輩もいるが、クマ一匹出るだけで大騒ぎする状況で、集団で行動する大型肉食獣などどうして放せようか。そもそも野生のシカを捕食するなどと誰が保証するのだ。ハブ退治を目的に移入された奄美大島のマングースは、ハブでなくアマミノクロウサギを襲っているではないか。オオカミと野良犬が交雑して人を恐れないハイブリッドが台頭して、新たな鳥獣問題を引き起こすのは目に見えている。

シカはカモシカと異なり深雪を苦手としている。明治期の北海道で、大雪と大寒波によって大量のシカ(エゾシカ)が死んだことはよく知られた事実..これが引き金になってエゾオオカミもまた絶滅に向かう..だが、まだ記憶に新しい2月の大豪雪が、少なからずシカの数を減らすことにつながっているとわずかでも期待したいところだ。


20140910

早朝、Nさんちのレタス畑を横切って行くシカの牝を見かけた。食害だけでなく、こうして縦横に歩きまわって株を踏みつけるので、当然これらも被害のうちである。今日はたまたま1頭だけであったが、これから秋深まるまでシカの恋の季節が続くので、電気柵のない畑は要注意である。

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雪少ない

2014/1/16

今年は雪が少ない。少ないというよりほとんど無いと言ってもいい。1月でこんなに少雪なのは近年記憶に無い。北部の山沿いには売るほど雪が積もっているので、単に赤城高原に降ってないだけなんだけどね。ま、雪が少ないほうが生活の面では有り難いのだが、もう少しあっても良いかな、と映像的には思ってしまう。

20140116

朝、珍しく牧草地にシカが残っていた。大抵は夜が明ける前には森に帰っていくのだが、時々朝帰りのヤツもいる。雪を掘り起こすことなく餌にありつけるこの状況は、連中にとっては間違いなく吉だろう。

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20131126

霜が降り、雪も降ろうかというこの時期においても、未だに畑で青々としているのはライ麦。何もこの期に及んで収穫を目論んでいるわけで はなく、来春畑ににすき込んで緑肥とするためのものだ。

どうせ肥料になるのだからと捨てて考えているのか、スパッと食われた葉先を見るまでもなく、ここが夜な夜な養鹿場になっているのは明らか。もう発情期も峠を超えているので、うら若き娘さんの悲鳴のようなラッティングコールも少なくなったが、宵の口に通りがかった際にシカとぶつかりそうなったとか何とか、近所の連中がぶつくさ言っているのを聞くのも今頃だ。

数年かけて集落と耕作地の周りをアニマルキラー(電気防鹿柵)で囲ったが、目に見えてシカの被害は減っていないと農家は嘆く。そりゃそうだ、こうしてシカの食い扶持をご丁寧に自分たちで用意しているのだから。この時期はもう農繁期を過ぎて、直接の被害がないのは判るが、シカが無事に冬を越す手助けをしていることに、そろそろ気付くべきだろう。

猟期を迎えて山が鉄砲撃ちで賑やかになってきたが、増えたのなら獲って食うのもひとつの手だ。自然界に捕食者がいない..正確にはいなくなっただけど..以上、人の手で減らすことに躊躇する必要はない。そうだ、獲って食って畑を守ろう。