週末は週明けに向けて色々忙しい。でもそんな個人的な事情などお構いなしに桜前線は高度を上げて北上中。
所要で渋川に降りた際に子持を抜けて戻ってきたが、標高400mラインより下は満開だ。
XF16mm F1.4の広角マクロや、最近発表されたXF70-300の望遠マクロがあるので、そろそろ文句を言うのは止めようかと思いつつも、この記事を書くためにやっぱり言いたい。
フジのレンズは寄れないとw
しかーしこのシグマ14-24は、超広角ズームであることを忘れるほど近接が可能。
焦点距離が焦点距離なので被写体を大きく写し込めるわけではないが、グッと寄ってグワッと背景を広く切り取ることができるのは素晴らしい。
これは実際に使ってみるまでは気が付かなかったぞ。
Gマウントレンズのラインナップが少ないことがウィークポイントというのは先日書いた通りで、特には超広角・超望遠・マクロという、特定の分野のその筋には欠かせない焦点域が足らないことになる。
超広角は先日の記事の通りシグマのArt14-24で代替できており、超望遠については同社Xまたはマイクロフォーサーズ機があるのでそこはもちはもち屋で対応可能だ。
どうしてもGFXでということであれば、特に100Sは1億という余りある画素数があるので、それを生かしていかようにでもトリミング自在である。
そもそもGマウントで超望遠が出てきても、ペンタ67系のような強大なレンズになるであろうし、何よりお値段も相当な値付けになるのは想像に難くないしね。
そして残るはマクロ。Gマウントでは唯一純正でGF120マクロが用意されていて、既出のサンプル画像を眺めても画質は素晴らしいものがあるが、例のごとく結構なお値段がする代物である。
撮影対象がネイチャー主体と言ってもそこまで投資するほどマクロ撮影をするわけではない..どちらかと言えば広角マクロか望遠マクロが好み..ので、ここは必然的に超広角同様サードパーティ製にご登場願うことになる。
ということで、カミソリマクロの異名を持つシグマの70mmマクロ(EFマウント版)試してみた。14-24mm同様にこれも画質優先のArtブランドである。
マウントアダプタは例のKIPON製。最近のこの手の中華製アダプタがよくできているのは、USBコネクタが装備されていて、わりと頻繁にファームアップが行われている点である。
新しいボディが出てくれば、ボディとレンズの通信制御の仕様に追加・変更が行われることは多々あり、カメラメーカー側も既存の製品に対し更新ファームウエアを提供してくるわけで、その間で情報のブリッジを為すマウントアダプタにも必然的にその対応が求められ、そこにいかに素早く対応しくれるかが導入のポイントであることは言うまでもない。
実は件のKIPONも、最初にこのシグマ70mmマクロを装着した際、GFX100Sのボディ内手ブレ補正(IBIS)が機能してないことがすぐに分かった。そりゃ近接時にEVF覗いていれば画面が震えているくらいは判るw
同レンズに手ブレ補正が付いてないのは分かっていたので、そこはGFX100SのIBISに期待していたのだが、このままでは三脚必須レンズになりかねない。
ダメ元でメーカーに確認したところ、最新ファーム..これを書いている時点ではV1.20..が提供されていたので早々にダウンロードしてファームアップしたところ、グレーアウトしていた手ブレ補正の設定が機能することを確認できた。
当然のようにEXIFのレンズ情報もちゃんと表示される。
同レンズは35mmフルサイズ用なのでGFXでは当然のようにケラるが、それでもこの程度で済むので、イメージサークルは広いほうだろう。
写真のように空、それに雪面など均一に明るい背景だと目立つが、背景によっては気にならない感じである。そもそもこういう遠景風景を空入れて撮るような目的のレンズではないしね。
例のごとく35mmフォーマットモードであれば、件のようなシーンでも何の問題もなく使える。
マクロ域で使う限りはケラレは言うほど気にならないので、さほど意識して35mmフォーマットモードにする必要はないだろう。
AFは同社14-24mmに比べればマシに動作してそれなりに合焦してくれるが、近接だからというのはあるかも。14-24mmの先日の評価はあくまで遠景だったのでね。
まあバイワイヤーなれどMF時のフォーカスリングのトルク感は結構良い感じなので、迷ったらAF作動範囲を制限し、それでもアレならMFにすれば良いのは14-24mmと同じだ。
それにしてもカミソリマクロとはよく言ったもので、1億画素の近接撮影でもまったく問題ないのはさすが。これで価格は純正の6分の1以下なのだから、そのコストパフォーマンスさときたら抜群ということになる。
言うほどは超広角レンズを多用するほうではないが、やはり撮れるのと撮れないのとではアングルのバリエーションが違ってくる。
風景を引きで撮るケースで使うことはほぼないが、パースの広がりを意識しつつグッと寄るのが正しい使い方だろう。
しかしシグマのレンズの優秀さには舌を巻く。これまでの意識はまさに食わず嫌いとはよく言ったものだ。
中判ミラーレスカメラとしてGFXが市場に出てきて4年が経つ。
そんなGFXも高額商品でニッチマーケットを狙ってきているため、交換レンズのバリエーションが少ない、というよりほとんど無いので選択肢が限られるのがウィークポイントである。
フジも毎年新しいGマウントレンズを発表してきて、35mm版換算で18mmから200mm相当まで一応は一通り揃ってきているが、3本あるうちのズームレンズに超広角ズームがないのが当初より指摘されている問題である。
GF23mmが35mm換算で18mm相当の最広角扱いとなるが、潰しの効かない単焦点であること、作例を見て画質が優れているのは分かるものの、何より貧乏人には本体以上に割高感があるのは否定できないw
そんなGFXであるが、ミラーレスカメラなのでフランジバックが短く、各社一眼レフの交換レンズを流用できる。ただ、センサーサイズが35mm版より1.7倍大きいので、イメージサークルが狭いレンズはクロップなしでは使えないことは先日記事にした通りだ。
そこで登場するのがレンズマウントを変換できるマウントアダプターである。
GFXは中華製を中心に意外にも多数のマウントアダプターが用意されているが、これは前述のメーカー自他ともに認める「交換レンズが少ない」状況を鑑みてのことだろう。
先日の記事ではキヤノンFDマウントだったので、電気接点のないそれこそただの変換リングだったが、 AFであるEFマウントレンズを使いたいので今回はAFが動作する電気接点のあるタイプを所望。
海外含めネットで色々調査した結果、マイクロフォーサーズとEFマウントの変換でもお世話になっているKIPON製をチョイス。
Metabones製が良いというのを海外のサイトで情報を得ているが、今のところ国内では流通していないのと、KIPONは一説にはメーカー毎に各社から個別にインターフェイスの仕様を正規に入手して対応しているという話もあって、とりあえずそこを信じてみることにしてみた次第。
超広角ズームとして選択したのはシグマの14-24mm F2.8(EFマウント版)。画質優先を目指す同社Artブランドである。
仕事仲間に使っている人がいるので実物は見て知ってはいたが、こうしてみると大きさは半端ないサイズである。特に重さが1.2kgもあって結構な重量感だが、まあこの点は他のGFレンズも似たようなものではある。
それにしても、市場は35mmフルサイズ百花繚乱だが、世の中の人はみんなこんなでかいレンズを使っているのかと、生粋のマイクロフォーサーズ・APS-Cユーザーである拙者などは思うのであるw
まずは広角端の14mmを試す。GFXでは約11mm相当という超の上に超が付きそう広角となるが、想像通り周辺が見事にケラれる。
ただ、これはイメージサークルの不適合からくる周辺減光というよりも、出目金レンズに対応した特徴ある花形フードが原因であることは何となく想像できる。
ではノーマルのままどこまでズームすればケラれないかであるが、試した限りでは20mm付近より望遠側では問題ないようだ。
写真一枚目のズーム位置通りギリギリ許容できるのは20mmの少し手前で、この位置で撮るとEXIFでは19mmと記録され、35mm版換算で約15mm相当となり、個人的には必要十分な超広角レンズと言える。
余談だが、KIPONが秀逸なのはEXIFへの情報記録が正確な点である。レンズ名は当然のこと、焦点距離は実数と35mm換算の双方が記録される。
どうしても額面通りズームレンジ全域を使いたければ、例の35mmフォーマットモードが有効。画素数が6000万画素に減るものの、このレンズ本来のスペック通りに運用可能だ。
GFX100Sが1億画素カメラなので、6000万画素だと画素数が減ってしまった印象があるが、それでも高画素機であることは間違いないんだけどねw
個人的イチオシのパノラマモードで65:24だとさらに1mm広げることができるので、35mm版で約14mm相当までイケるかな。
Artの噂通りの高画質は1億画素のハイレゾでもいかんなく発揮されている。直線が真っ直ぐ写るゼロディストーションが謳い文句だが、周辺部まできっちりと解像する様はさすがだ。
正直そこまで期待していなかったのが本音だが、某C社の超広角Lズームよりシグマのほうが優秀というのは、価格差を考えるとすごいことである。
ただ、運用上AFはやや難あり。日中の光が潤沢に回っている状況ではそれほどではないが、朝夕の光量不足の時間帯ではなかなか合焦しないケースが目立つ。
純正レンズでは何の迷いもなくスパッと決まるシーンでも、ジーコジーコとモーター駆動してレンズ群が行ったり来たりするのは精神衛生上あまりよろしくない。もちろんこれは本レンズのAF性能が悪いのではなく、中華製のマウントアダプターを間に挟んでいることで、本来AF測距に必要な情報が不足しているのではないかと推察できる。
迷い出したらすぐにMFに切り替えるか、AFが合焦しやすいところを見つけてそこでピンを合わせておいてから再フレーミングするのが吉。超広角レンズなのでそれが許されるのだし。
最後に余談。これは試していないのでネタということになるが、本レンズはメーカーが用意している公式改造で特徴ある花形フードをそっくり外すことができる。
つまり出目金が完全に露出した状態になるわけで、これはマルチカム対応でレンズ間の干渉を防ぐのが目的であるようだが、同改造でフードを外せば写真二枚目のケラれが無くなるのではないかと想像している。
そうすると35mm版換算で約11mm相当とズーム全域が使える可能性が出てくる。
フジはGマウントレンズのロードマップを公開しているが、そこには記載されていないものの、年内にズームレンズをもう1本発売するような話をしているので、それが超広角ズームであればその広角端次第ではシグマの同改造を受けてみたいと思う。
春の花は黄色から始まる。ロウバイ、スイセンと続いて今はダンコウバイが山の端の雑木林を賑わしている。
そんな早春の黄色を少しハイキー気味で。
ラージフォーマットとAPS-Cという面積比で4倍近く異なるセンサーなのに、同じフィルムシミュレーションを使う限りGFX100SとX-T4は同じ色の傾向を示す。
画素数が多くなれば入力される受光量、つまり情報量が多くなるので、データを平均化するなどの定量的な処理はその分頭を使う必要があるのは自明の理。
GFXに限った話ではないが、高画素機の演算処理能力は高速連写機のそれ同様、相当にパワーが必要ということだ。