騎士道精神にも学べ
プロ女子テニスの大坂なおみのBLM運動に絡んだ発言や行動について、「政治的だ」とかスポーツ界に「政治を持ち込むな」とか批判の嵐が沸き起こっている。しかもそれ、この日本での話であるからいやはやである。
彼女が「テニスプレーヤーの前に黒人だから看過できない問題」というのは、人種差別の歴史から見ても容易に想像でき、そして理解できる話だ。
しかしこの人種差別に根付く問題を、米国の国内問題がごとくどこか対岸の火事のように眺めて、遠くから大坂選手を叩いている日本人の無知というか、そのアホさ加減には呆れるばかりだ。
そしてその日本人が..というか白人以外が..人種差別を繰り返し行う白人の面前に立とうものなら、「ジャップ国へ帰れ」と罵倒されるのを知らないのである。
自分たちは白人と同じ側に立っていると勝手に都合よく脳内解釈できるのは、それはそれで幸せかもしれないが、まあハッキリってオメデタイとしか言いようがないな。
そもそも大坂選手を叩いて悦に入っている連中は、間違いなく彼女がその方面で活躍して自己を主張する女性だからであろう。つまり人種差別ではなく性差別であり、要は生意気な女はいけ好かねぇからぶっ叩け理論なのだ。女は黙って男の半歩後から付いて来るべき的、それはもうまさに昭和の親父の生き様そのものだ。
芸能人でもアーティストでも声を高らかに上げた瞬間に叩かれるのは、大抵は女性であり、この手の話は論えば枚挙にいとまがない。
つい先だっても、アレの辞任にかこつけて批判的な発言をしたとかで野党の女性議員がSNS上で叩かれていた..言っていることは至極正論だったぞ..が、白いスーツでおなじみの二位じゃダメなんですか先生..この先生が有能とは言っていないがw..しかり、反政権の女性議員ばかり叩かれるその根っこは、今回の大阪選手の件と同じであると言って良い。
日本人は武士道が好きだが、長いものに巻かれて見て見ぬ振りするのがその武士道の真骨頂なので、世の男達に鬱屈したものが溜まっているのは想像でき、そのはけ口がSNSというインターネットを通した電脳空間の中にあるという侘しさ。
同じような精神論に欧州由来の騎士道がある。名誉や礼節をわきまえ正直にそして誠実におのれ自身の見識と能力を高めるべきと説いた騎士道。その考え方にはレディを大切に扱うことも当然の様に含まれており、誰かに仕えて文句も言わずに身を粉にして働く武士道の教えとはかなり趣きが異なるわけ。
何でもかんでもレディ・ファーストというつもりはないが、活躍する、意見を言う、自分の立ち位置を明確にする、そういった女性を叩く勘違い野郎どもこそ、それはやっかみと僻みの域を出ない日本人の島国根性そのものであり、武士道の負の側面の乱用と言って良いだろうな。
僻みっぽい日本人の男どもよ、武士道はほどほどに、たまには騎士道精神を学ぶのも悪くないぞ。
ようやくアレが辞めてくれたが、「ニッポン人よ、世ぉーが明けたぜよ!」って気分にならないのはナゼw