先日の記事で空模様が大事と書いた。
が、朝晴れているからと言ってそれが持続するとは限らない。
冬の太陽高度は低くて南向きだと眩しいなぁ、などと呑気にしていたら、
お昼には横殴りの吹雪となってしまい、敢えなく撤退。
ま、チラッとでも飛影が見られただけでも良しとしようか。
しかし今日も風が強かったなぁ..
考え事をしていて道を間違えた。
そんなに歩くつもりはなかったのだが、戻るのも面倒だったので、そのまま40分ほど急登を上り詰めて山頂へ。本来なら南東側だけ視界が得られるはずだったのだが、360℃の大展望になってしまった。
山頂の岩場に立ってみると、昨日ほどではないが今日も風が強い。ただ、ここまで登ってくる予定ではなかったので、三脚が車脇用の大型であった..担いで登ったので非常に疲れた(苦笑)..ため、揺れはそこそこ抑えられた。
しかし、こうして延々と遠くまで続くやまなみを眺めてみると、地べたはつながっているものだと、当たり前のことにあらためて思い当たる。周囲から独立した単独ペアなどと勝手に人間様が考えていても、結構お隣さんの動静は見えているのだろうなと、ついぞ考えてしまう。
今のところ判っている隣接ペアは30km以上離れてるため、間違っても見えることはないが、それでもついつい遠くの稜線まで目で追ってしまうのは悲しい性だな(笑)。
ビュービューと大風が吹き荒れた。
林道を走っていると、時々折れた木の枝が落ちてきて、ボンネットや屋根に当たる。カーン!とひときわ甲高い音がすぐ頭の上でして、思わず首を引っ込める。バックミラーに大きな枯れ枝が転がって落ちるのが見えた。車を止めて屋根を確認すると、また一つ勲章が増えているのが判った(苦笑)。
車に戻ろうと運転席に近づくと、すぐ近くからヤマドリの雄がいきなり飛び立って再び驚く。意外に近くに降り立ったので、カメラを持って近づくが、さすがに2匹目のドジョウはいなかった。
いくつかの支線が通行止めで、仕方なく大回りで麓の集落へ戻る。途中思い立って久しぶりに某峠へ上がってみると、ここも反対側が通行止めであった。この峠にはなぜかブナの大木が1本だけ立っている。周囲はカラマツと杉、それに檜の人工林の見本市。その昔はブナ林が広がっていたのか、それとも自然の気まぐれか。
峠とはいっても今は閑道。行き交う人影の気配もなく、古の往来を忍ばせるものは小さな道祖神ぐらいだ。ゴーゴーと唸りを上げ、足を止めるものを拒絶するかのように、峠の寒空を強風が吹き抜ける。
ふと、誰かに見られているような気配に視線を泳がせると、笹を揺らしながらキツネが去って行くのが見えた。
いよいよ本格的な冬の到来だ。
今朝の赤城高原は氷点下5℃。駄犬の水バケツも凍り、車のフロントガラスには霜がビッシリと付いた。
冬型の気圧配置が強まると、沼田盆地から北は雪模様の天気が多くなるが、ワシの観察に出向く際、北か南かどこに出掛けるかは自ずから天気次第になる。何しろ相手は空を飛ぶ生きもの。視界が得られなければ仕事にならないからだ。
朝一で駄犬の散歩コースの最高地点に登り、今日も周囲をグルリと見回す。風もなく穏やかに全県下良い天気のようだ。寒さに浅間のモルゲンロートが美しい。
今日はどこに出向いても空は大丈夫。だが、上越国境が晴れている日は、可能な限り北部フィールドを中心に足を運ぶのが鉄則。これから春まで、数少ない晴れ間は大切にしなければ..
久々に新規にカメラサポートを手に入れた。
現在、動画はDSLRでの撮影がほとんどなのだが、カメラサポート周りはヘッドと脚がデカイか小さいかの両極端の状況が永らく続いていた。今回はそれにようやく終止符を打った形だ。
EOS xDでもGHxでも、従来のカムコーダーに比べると大きさも重さも小さく軽いため、どうにもバランスが悪かったのだが、DSLRムービーは何れもここ2・3年で登場してきたカテゴリーのため、なかなか適当なカメラサポートが無かったのである。
カメラ単体にレンズ1本なら、マンフロットの701HDVがまあまあ良い仕事をしてくれていたが、トップハンドル付きのリグに載せ、外部モニターに外部マイク、フォローフォーカスを組み合わせると、途端に役立たずになってしまう。手持ちの中ではサクラーのDV6がバランス的には良いのだが、脚をジッツォのカーボンに換装しても、歩いて動き回るにはやや重すぎるのである。
調べると、今はDSLRムービーにフィックスした製品が色々出ているのが判った。DSLR撮影では用途に応じてアクセサリーを組み合わせるため、ポイントはドラッグスピードとカウンターバランスの調整が何段階かでできる点と、DV6とジッツォ3型カーボンの組み合わせより軽いこと、などが挙げられる。実際は直接触ってみたいのだが、田舎故に目星を付けた製品を現物として見るのは至難の業。ところが便利なもので、世界にはVimeoやYouTubeにインプレを動画でアップしてくれている奇特な方々がおり、今回は色々参考にさせてもらった。
実は注文したのは8月のことである。人気があるのかどこも在庫不足になっていて、いつもOut of stockだったのだが、クリスマス商戦たけなわのこの時期になって、ようやく出荷されてきた次第である。国内には在庫しているショップもあったが、何せこの円高、海外通販のほうが圧倒的に安いのだから仕方が無い。ただ、本来は秋の紅葉撮影から導入したかったのだが、注文したことすらほとんど忘れていたのを、先日の夕方ヤマト便のいつもの兄ちゃんが、UPS伝票持って思い出させてくれた(笑)。
さて、今日は天気も悪く外出できなかったので、室内で色々載せて試してみたところ、概ね予想通りでまあまあと言ったところ。何よりコストパフォーマンスが抜群で、来週にもすぐに元が取れるだろう。え?どこの製品を買ったのかって?まあ、それはまた追々(笑)。
そう言えば某所のクマタカは今年繁殖していたらしい。うかつだったが、先日、目の前で幼鳥が鳴いているのを見て初めて気が付いた。フラフラ飛んでいるKなど普段は眼中にないので、気にすることもないのだが、このペアの巣の位置は判っているので、いやホントにうかつ、灯台下暗しだった..
久しぶりに面白いシーンを見た。イヌワシがクマタカのお株を奪うような行動を見せたのだ。
ひとしきり巣材を運んだ後、休憩していたのかと思いきや、突然下流側の林内にいたクマタカに対し排斥行動に出た。
最初は林縁部で攻撃を仕掛けたのだが、クマタカはすぐにブナ林に逃げ込むいつもの行動。それが面白くなかったのか、イヌワシ(雄)はしばらく間合いを計るように停空飛翔状態でブナ林の上空で静止、タイミングを見て一気に林内に降下、ブナの枝伝いにクマタカを追い回し始めたのだ。
これには見ていた私も驚いたが、一番驚いたのは狙われたクマタカのほうだろう。よほど泡を食ったのか、イヌワシの攻撃を避けようとバランスを崩してクルクルと林床近くまで落ちて、一度は視界から姿を消した。
すぐにバタバタと上がってきたが、低い枝に止まり直したところを再びイヌワシに突っかけられると、一旦は諦めて反撃しようとしたのかお互い向き合うように翼を広げて対峙。しかし、クマタカが堪えきれずに林内を遁走し始めると、イヌワシも同じようにヒラリヒラリと木々をかわしつつ後を追いかけ、そのまま両種とも視界から姿を消したのだった。
30分ほど消失地点付近を凝視していたが、谷の上流側上空を旋回するイヌワシ(雄)を発見する。もしかして、と思い拡大望遠でそのうを確認するが、さきほどのクマタカが食われた痕跡は認められなかった..
大型猛禽類の中では比較的翼が幅広で短いクマタカは、林内をすり抜けるように移動するのが得意である。それに対しイヌワシはグライダーのごとく翼が長いため、開けた空間での行動を得意とする。と、杓子定規に語ればまあそんな感じなのだが、実際はイヌワシもヘビなど小動物を狩ることがあるため、一般に考えられている以上に林内を利用するようである。
ただやはり、狭小空間は本来好む主戦場ではないため、形勢は危うかった可能性もあったが、今回のケースでは明らかにクマタカが不利のように見えてしまったのもまた事実。襲うものと襲われるもの、その立場の違いも大きく影響していたのかもしれない。
山道を歩いていると、視野の隅に大きな影が動くのが見えた。
休憩がてら道脇に装備一式降ろし、ホルスターから望遠レンズ付きのカメラを取り出す。
山道は尾根筋に付いているため、覗き降ろすように谷側の斜面にゆっくり顔を出すと、大型のけものが尻をこちらに向けて佇んでいるのが見えた。とっくにこちらには気付いているはずだが、我関せずとばかり、下を向いて食事に夢中である。
登坂で荒くなった息を静めて、最小限の足音で背後からゆっくり忍び寄る。するとおもむろに顔を上げてこちらを睨む。同時にこちらも動きを止める。
そんな達磨さんが転んだを数回繰り返し、10mほどに近づいたところで倒木に腰を下ろす。今度はあっちも顔を降ろさず身じろぎもしない。
そっとカメラを構え、数枚シャッターを切る。構図を変えようと縦位置に構え直す動作で、ようやく静々と歩き出した。
5mほど歩き出してから、それまでののんびりとした動きがウソのようにダッシュで藪をかき分け、隣接する杉林へと消えていった..
フィールドでよく出会うけものの筆頭は、サルとこのカモシカだ。蹄系ではシカもそれなりに見掛けはするが、冬季の積雪の関係でやはりカモシカが多い。
ここも一ヶ月もしないうちに辺り一面白く覆われ、厳冬期には2mの積雪となる。
先日初雪となった我が家の駄犬でさえ衣替えを済ませているが、今日出会ったこの山親爺も、立派なその体躯にすでに冬毛をまとって準備万端のようだ。