寄ってくるもの
2013/6/13
小雨模様の中、三脚の前に立ってファインダーを覗いていると、目の隅に何やらモコモコしたものがうごめく気配を感じた。
ふと足元を見下ろすと、そこにいたのは何とアナグマ。しきりに三脚の脚の一本に鼻を寄せ、クンクンと匂いを嗅いでいる。予想だにしない思わぬ珍客に、こちらは身動きもできずに立ち尽くす。そう、時間にすれば10秒ほどだろうか、アナグマは気がすんだのか、匂いをかぐのをやめ、こちらの視線に気がついて顔を上げたため、お互い目が合うことに。
そしてここで再び10秒ほどの沈黙の後、フフンと鼻を鳴らすとスタコラ歩き出し、信じられぬことに何とこちらの股の間を通りぬけ、そのまま森の中へと消えていったのである。アナグマの目が悪いのは知ってはいたが、よくもここまで平然と近づいてくるものだと感心することしきりである。
まあ長いこと山や森をうろついてはいるが、ここまで呑気なアナグマは初めてのことだ。
そして三脚に寄ってきたのはアナグマだけではない。ジャノメチョウの仲間であるヒカゲチョウが、どんなに追い払っても執拗に集ってきて、雲台周りをしきりに舐めていた。恐らく付着している手汗からミネラルを補給していたのだろう。特に害があるわけでもないので、最後は気が済むまで放っておいた。