富士山初冠雪見直し
今年の富士山の初冠雪は7日と発表されていたが、観測した甲府地方気象台はこれを一旦取り消すとのことだ。
何でも富士山山頂の9月20日の平均気温が8月4日を上回ったということで、最高気温以前の降雪は初冠雪とは記録していないとのこと。
9月初旬だとそりゃ今年は随分と早いなぁとは思っていたのは確かだが、冠雪した事実は置いといて見直すというのも何とも異例な話である。
とは言え自然の移ろいと人が決めた暦との微妙なズレからくる観測条件の差異は、事前のルールの基で当てはめていかないと、後々その統計値を使う際に面倒なことになるので仕方ないことであろう。
生物季節観測で言えば、例えばスイセンやウメの開花は緯度の低い地域では年の瀬に開花するのが一般的だ。
だが、そのまま人の暦に当てはめると12月の記録となってしまって、数字上は緯度の高い地域より遅いということになってしまうので、年界をまたぐというパラメータを加えることで、暦の上では前年末であっても、翌年のデータとして扱うというのがイレギュラーな対応となる。
余談だが、四季がはっきりしている日本と違い、例えばアラスカ北極圏など極地での初雪・遅雪の切り分けというのは難しのではないかと思っていて、現地を訪れた際に聞いてみたことがある。
その当時のデナリ国立公園のレンジャー曰く、7月中に降れば遅雪、8月以降なら初雪と言っていた。公式的なものか今となっては定かではないが、8月のお盆過ぎ、やけに冷え込むとな朝テントから顔を出してみたら、ツンドラが一面真っ白で驚いたのを思い出した。
一枚目の写真はその8月22日に突然の降雪に見舞われた日に、バックカントリーで出会ったグリズリー。好物のブルーベリーを探してツンドラを歩き回り、近くにいる当方には目もくれず、あちこちほじくり返していたのをよく憶えている。
二枚目は同月27日のもの。この年は今年は雪が早いとレンジャーも驚いたほどよく雪が降っていて、いくらなんでも大袈裟だろうと思いつつ持ち込んでいたダウンの寝袋に随分と助けられた。
実際、9月に入ってすぐに氷点下10℃まで下がった朝もあって、さすがに極地は違うなと思ったものである。何しろ15日に国立公園が冬季閉鎖となって帰国した際、日本はうだるような残暑の中だったのだから。