カテゴリ : 鳥獣・環境問題

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ちょっと前に関係者に聞いたのだが、うちの裏山(赤城山)で県がシカ駆除用に囲いわなを仕掛けるらしい。前橋市が協力ということで、旧富士見村周辺など南面側のようだ。囲いわなと言っても高さ2.5mで周囲が500m近くあるので、見た目は養鹿場のようになるだろうか。カウンターを装備したゲートを設けて、一定数に達するとゲートが自動的にロックされ、一網打尽になる仕掛けだ。

県内に限らず、もはやシカによる森林や農作物への被害が看過しておけない状況にある。ある程度の数まで増えれば逆に個体数は自然減になるのは間違いないが、その前に山と耕地が荒れ果てるのは必定である。猟師の手で1頭ずつ間引きなどというのは手ぬるいので、一定数を一気に捕獲して駆除するしかないだろう。先の囲いわなはその一つの手でもある。

県北では、日光の足尾周辺から県境を超えてシカが行き来しているのが、捕獲して発信機を付けた個体の行動から明らかになっている。貴重なシラネアオイが食害されている日光白根山周辺や、ミズバショウやニッコウキスゲ、ミツガシワなどが被害にあっている尾瀬周辺も対策は急務だ。夏を彩っていた湿原の花々の被害は、放置しておけば取り返しがつかなくなる。微妙なバランスの上に成り立って形成される自然環境は、一朝一夕に植生回復など見込めない。

シカを捕食する肉食獣が国内にいない以上、人の手で対処するしかないのが現実だ。北米の例を上げてオオカミを放せなどと寝言を言っている輩もいるが、クマ一匹出るだけで大騒ぎする状況で、集団で行動する大型肉食獣などどうして放せようか。そもそも野生のシカを捕食するなどと誰が保証するのだ。ハブ退治を目的に移入された奄美大島のマングースは、ハブでなくアマミノクロウサギを襲っているではないか。オオカミと野良犬が交雑して人を恐れないハイブリッドが台頭して、新たな鳥獣問題を引き起こすのは目に見えている。

シカはカモシカと異なり深雪を苦手としている。明治期の北海道で、大雪と大寒波によって大量のシカ(エゾシカ)が死んだことはよく知られた事実..これが引き金になってエゾオオカミもまた絶滅に向かう..だが、まだ記憶に新しい2月の大豪雪が、少なからずシカの数を減らすことにつながっているとわずかでも期待したいところだ。


20140910

早朝、Nさんちのレタス畑を横切って行くシカの牝を見かけた。食害だけでなく、こうして縦横に歩きまわって株を踏みつけるので、当然これらも被害のうちである。今日はたまたま1頭だけであったが、これから秋深まるまでシカの恋の季節が続くので、電気柵のない畑は要注意である。

カテゴリ:ほ乳類, 鳥獣・環境問題|タグ:

海のクマ

2014/6/28

日本には生息していないが、シロクマのイメージとして動物園では馴染み深いホッキョクグマ。私がペンギンの仲間と並んで野生種として一度は観てみたいワイルドライフの筆頭である。

ホッキョクグマは20万年ぐらい前にヒグマから分かれた、ほ乳類としては比較的新しい種である。そういった事情からか、ヒグマとは見た目の印象はだいぶ違うものの、互いに交雑してもハイブリットとして生活していけるほどいまだに近縁であり、実際にそういった事例はカナダ北極圏では散見される。

餌資源をアザラシに依存するホッキョクグマが、その生活史ともども海に依存しているの知られた事実である。そんな彼らと陸棲のヒグマの接点が増えているということは、海で餌が獲りづらくなったことの裏返しでもあるわけだ。

地球温暖化の影響と言われるように、北極海で通年を通して氷が減少、または海の開ける時期が早まっている事実はここでは割愛するが、海に閉ざされる期間が短くなることは、北極海に航路を求める人間にとってはありがたいことであっても、その為に進化してきたホッキョクグマには迷惑千万な話であることは明白である。

このまま氷が減り続けると、再びヒグマに戻るか種として絶滅するか、そんな選択が彼らを待ち受けていることになる。訳あって分科した種が、その求めた環境の変化によって絶滅に向かうことは、地球の歴史の中で何度も繰り返されてきた事実ではあるが、我々人類の生活圏の拡大によって引き起こされるとするならば、ワイルドライフを愛するものとしては複雑な気持ちにならざるを得ない。

あくまでGoProのプロモーション映像だが、最近観たショートムービーとしては秀逸な出来だと思う。ホッキョクグマの学名「Ursus maritimus」は海のクマを意味するが、まさにそれが短い映像の中に表現されている。

ただ、この映像を見てホッキョクグマは単にお泳ぎが上手いクマなんだな、で終わってはいけない。どんなに泳ぎが上手かろうとも、海を終の住み処とするアザラシには到底及ばないのだ。ホッキョクグマが泳ぎに優れたクマであるのは、あくまで海氷間を移動するために習得した能力であり、これをもってアザラシを狩るわけではない。

もし、アザラシを狩るためには海が凍るという状況が必要なんだ、そんな深読みがこの映像からできるようになれば、ワイルドライフのその圧倒的な生きざまを映像に残すという作業自体、途方もなく手間のかかることだとしても、意味があることだと思えてくる。

20140628

旭山動物園のホッキョクグマ展示室の廊下に描かれた絵もまた秀逸だ。展示の斬新さに話題が集まる同園だが、そこに至る導線への配慮も忘れてはならないだろう。

20131126

霜が降り、雪も降ろうかというこの時期においても、未だに畑で青々としているのはライ麦。何もこの期に及んで収穫を目論んでいるわけで はなく、来春畑ににすき込んで緑肥とするためのものだ。

どうせ肥料になるのだからと捨てて考えているのか、スパッと食われた葉先を見るまでもなく、ここが夜な夜な養鹿場になっているのは明らか。もう発情期も峠を超えているので、うら若き娘さんの悲鳴のようなラッティングコールも少なくなったが、宵の口に通りがかった際にシカとぶつかりそうなったとか何とか、近所の連中がぶつくさ言っているのを聞くのも今頃だ。

数年かけて集落と耕作地の周りをアニマルキラー(電気防鹿柵)で囲ったが、目に見えてシカの被害は減っていないと農家は嘆く。そりゃそうだ、こうしてシカの食い扶持をご丁寧に自分たちで用意しているのだから。この時期はもう農繁期を過ぎて、直接の被害がないのは判るが、シカが無事に冬を越す手助けをしていることに、そろそろ気付くべきだろう。

猟期を迎えて山が鉄砲撃ちで賑やかになってきたが、増えたのなら獲って食うのもひとつの手だ。自然界に捕食者がいない..正確にはいなくなっただけど..以上、人の手で減らすことに躊躇する必要はない。そうだ、獲って食って畑を守ろう。

クマが出た

2012/10/17

んだそうだ。それもうちの組内の班長の家で。

なんでも、このところずーっとイノシシに畑を荒らされていて、堪忍袋の緒が切れたとかで、有害駆除申請したんだそうだ。

さっそく猟友会がやって来て、畑の際に捕獲檻を設置して一週間ほど様子を見たところ、目的のシシでなくクマが掛かっていたらしい。そこで何より驚いたのは倅のヨメさんだろう。アプローチ路を探ったところ、小中学、保育園と子どもがフルセットいて、その彼らが日常的に出入りする場所を、クマは行ったり来たりしていたと言うのだから。

連絡もらったときは打ち合わせ中ですぐ抜けられず、あとで結果だけ聞いたのだが、体長は1mほどの60kg少々の若いオスだったとか。動物との共生を目指す我が村、いや、見つけ次第片っ端から駆除する我が村としては、当然のごとく若きクマは哀れ殺処分の運命に。

聞き取り含めちょっと調べたところ、クマの目当ては畑にすき込まれた未収穫のトウキビ。そう、つまりクマはシシの身代わりになって死んだのである。皮肉にもその当日の騒ぎでだいぶ人の匂いが残ったのか、シシによる畑荒らしはその後は止まっているようだ。

捕まえたクマにトウガラシスプレーなど吹きかけてお仕置きを施し、山奥に連れて行って再放獣する奥山放獣が今のトレンド。されど人的資源も無ければ予算も無い。無い無い尽くしで、何よりその気が無いのが一番問題。それに奥山と一言で言っても、我が村の奥山は赤城山であり、その奥山のさらに奥山は観光地だったりして、結局どこか余所の市町村に放すしかないのである。

でもそれを受け入れてくれる自治体など、同じ郡内といえどそう簡単に見つかるわけもなく、やはりここは県が重い腰を上げて仲介するなりビジョンを示す必要があると思うのだ。せめて農業被害を名目に、たまたま罠に掛かってしまって面倒だからと殺処分の憂き目にあう、そんな運の悪いクマだけでも何とかならんものか、ふと、我が家のコナラのドングリをみてそう思うのである。