時々HDR
キビタキとクロジのさえずりがブナの森に響く。時々ガサガサとササを揺らして何かが走って逃げていく。林床には新緑を通過した柔らかな初夏の光が差し込んで、ゆく道を照らしてくれる。
エゾハルゼミもまだ控えめにジージー鳴いているが、この暑さが続けばすぐに降るような大合唱となって、鳥たちからその声の主役の座を奪うことだろう。
平日の玉原は行き交う人の喧騒もなく静かなものだ。20年くらい前なら鳥たちの春コーラスも盛大に楽しめたが、ご多分に漏れず玉原も昔の面影はない。環境が変わったのか鳥が減ったのか、はたかまその両方なのか。こればかりは鳥に聞いてみるしかないかな。
それにしてもだ。Google日本語入力の相変わらずの語彙の狭さに辟易する。未だに「たんばら」と入力して玉原が変換されないのだから。玉原の知名度がその程度ということがあるのは一理あるが、関東でも人気の玉原高原スキー場が隣りにあるのだから、いい加減何とかしろよって思う。
辞書に単語登録すれば良いのは今も昔も変わらないが、時々クリーンインストールを実行してMacをリセットする習慣がある..都合でmacOSのTime Machineは使ってない..ので、その度に細かい設定を元に戻すのが面倒なんでね。
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS(4枚目・5枚目)
ETERNA(1枚目) / Velvia
X-H1にはDレンジ優先という設定がある。これはX-T2以前には実装されていない機能で、フィルムシミュレーションのETERNAと一緒にX-H1から追加されたものだ。
Dレンジ優先は、文字通りダイナミナックレンジをカメラ側で適切にコントロールするという仕様からして、従来からあるダイナミナックレンジを倍々で広げていくDR100〜400よりも、場面に合わせてそれなりに写るようである。
ETERNAは動画用のフィルムシミュレーションであるが、デフォルトでダイナミナックレンジを広くとる設定なので、ETERNAとDレンジ優先が合わせ技..X-T2にはどちらもないので..なのは何となく理解できる。
以前、ファームアップでX-T2にもETERNAが追加されるような噂もあったが、もしかしたらX-H1にはオンボードで何かそれ用のハードが積まれているのかもしれない。
写真の世界では白は白く黒は黒く、特に暗部を黒く潰すことでメリハリをつける、いわゆるコントラストを高くするという表現方法がよく使われる..モノクロの世界がまさにそれ..が、昨今はネットの時流に乗じてどこもHDR流行りなので、白を飛ばすことなく、黒を潰すことなくが好まれているようだ。
上の例では、4枚目が通常..新緑を表現しているので幹を黒く潰している..に撮影したもので、5枚目の写真がDレンジ優先で撮影したものだ。4枚目と同様に新緑に露出を合わせれば林床は黒く潰れ、逆に林床に露出を合わせれば新緑は飛んでしまうことになる。
初夏の森の中は、樹相により林冠が空けている場所もあれば、倒木による空間、それに新緑の透過光など複雑に光が射し込むため、適正露出をどこに合わせるかは表現次第で千差万別となる。ならばいっそすべての光をと欲張るなら、こういうHDR表現も一つの手と言えるだろう。
ただ、何でもかんでもHDR表現というのはちょっといただけない。何事もほどほどが良いのである。