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いよいよ富士フィルムもX-H2Sで参入してきたAIによる物体認識に基づくAFだが、そう遠くない将来にはすべてのミラーレスカメラで標準的な機能となるだろう。

スマホとの差別化の意味もあって、そうでもしないと普及価格帯のグレードはスマホに市場食われたコンデジと同じ憂き目に合うのは必定だ。

それに上位モデルではあらかじめ物体を特定しなくても勝手に選別..一部のフラッグシップではすでに可能..してくれるとか、同時に複数の物体を個別に認識するとかしてより高精度になっていくことなろう。

ただ、無機物と有機物を同時に撮るケースはレアと思われるので、同じ画面内に猫と飛行機と鳥とオートバイがいた時、どれを優先するかは決めておかないとならないので、勝手に選別はあまり意味はないなw

ちなみに先日フジXを最後発と書いたが、それはレンズ交換式のミラーレスカメラでの話であって、世界初の動物認識は同社が10年前に出した「FinePix F80EXR」らしいので、実は富士フイルムはすでのその分野の知見を持っていたことになる。

なのでX-H2Sの製品版の物体認識AFのフィールドでの実用性を早く知りたいところだ。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

何気に仕事場の壁にかかっている四半世紀前のアラスカ土産にOM-1を向けると、こんな二次元の創作物でもちゃんと鳥を認識してた。

このポスターにはデナリ国立公園のツンドラの様子が描かれていて、同公園内で見られる生きものが含まれている。

そのうち鳥はイヌワシ、チュウヒ、コミミズク、ライチョウ、ワタリガラスの5種で、OM-1は当然のように天狗様にピンを送っていたw

アウトドア作家の野田知佑氏が逝去されたとのこと。享年84歳。

日清チキンラーメンのCMに当時の愛犬ガク..いやはや隊のメンバーである作家の椎名誠氏の長男から取った名前..と一緒に出演していたのを記憶している人もいるだろう。

同氏を初めて知ったのはBE-PALの連載だったと記憶しており、驚いたことに紀行エッセイ「のんびり行こうぜ」は以来38年間も連載が続いていたようだ。

何度か敢行したアラスカ遠征に「北極海へ」「ゆらゆらとユーコン」「ユーコン漂流」など氏の著書を多数持ち込んで、荒天でテントに閉じ込められた際などに読み耽っていた覚えがある。

あてどなく荒野に吹く風のような飄々とした文体は、肩ひじ張らずにカジュアルに読み耽ることができ、読む人を氏が焚き火を囲む川辺へと誘うような、不思議な感覚を体験できよう。

カヌーイストという聞きなれないポジションを耳にしたのも野田氏の関係であり、カヌーを漕いで川を流れ下りつつ旅をするという遊びを知ったのは当時のアウトドア少年..と言っても高校生だったけど..にとっては何とも新鮮であった。

今どきの若い人は、川や田んぼで遊ぶことがどこかアウトドアのアクティビティのように考えているだろうが、我々の世代は近所の川で泳いだり..そのせいで碓氷川も烏川も遊泳禁止になったけどw..、バケツを持って行って生きものをさらってくるのが日常の遊びだった。

野田氏の浮浪雲がごとき自由人としての生き様は、大人になり忘れかけていたそんな体験を記憶の中から掘り起こしてくれるタイムマシンそのものだった。

先に逝ったガクや歴代のカヌー犬たちと極北の川辺で再会し、また一緒に旅をして欲しいと願う。いやはや合掌。

RICHO GR1s

ご多分にもれず野田氏の影響でカヌーに乗りたいと考えていた時期もあったが、結局それが実現したのは最後のアラスカ遠征となったグレイシャーベイNPだった。

南島アラスカに位置するグレイシャーベイは星野道夫氏の著書にもたびたび登場する氷の国で、周囲を氷河に囲まれたフィヨルド地形に足を踏み入れるためには、カヌーやシーカヤックが必要なのである。

もちろん拙者にカヌーを操船する技術などないので、漕ぎ手は同行の手練れにお願いしたが、凪いだ水面を滑るように静かに進むカヌーの感触はそれまでに感じたことのないものだった。

今どきならドローンを使う方が手っ取り早いのだが、カメラマン的な感覚で言えば、限りなく水面に近い視点が得られるというのは新鮮な感覚である。

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一昨日、北海道の羅臼でヒグマが有害駆除されたというローカルニュースが流れていた。

道内のヒグマの出没状況は近年は増加傾向にあるので、それ自体はそう珍しいことでは無いのだが、駆除された個体が体長2.1m、体重はなんと400kgというからこれにはかなり驚いた。

2002年だったかお隣の斜里町で捕獲された個体がやはり400kg級で、それまで知床にはそのクラスはいないと言われ続けていたので当時もかなり話題になっていた。

20年ぶりと言えばそうなのだが、生息数が過密と言われる知床にもまだこのクラスが残っているという話であろうか。

クマの仲間は地域によってかなり個体差があり、ヒグマで言えば日本のエゾヒグマは大陸産に比べれば小型と言って良く、せいぜい150〜240kgぐらい..本州のツキノワグマは大きくても100kg前後..とされているので、400kg級がどれだけのものかは推して知るべしだ。

先の斜里の例では対峙したハンターが軽自動車並みと言っていたのは何となく記憶にある。

Canon EOS-1n / EF500mm F4.5L USM / PROVIA / Katmai N.P

クマに限った話ではないが、生きものの大きさに地域差があるというのは食事事情に他ならない。

アラスカ辺りのヒグマの例で言えば、例えば内陸部の個体ならほぼほぼ植物食中心で、時々はオオカミの上前をくすねたカリブーの死体などにありつくことはあれど、せいぜいジリスを襲う程度の肉食事情だ。

その点、南東アラスカなど沿岸部や川沿いに生息する個体群ならば、時期を分けて遡上する豊穣のサケや海岸に打ち上がる鯨類や鰭脚類の死体にありつけるので、食事メニューの中をかなり多くの肉食が占めることになる。

実際、南東アラスカのヒグマは軽く500kgを超える個体がいて、特にコディアック島の個体群などは600kgをゆうに超える個体もいるらしく、ここまでくると世界最大と言われるホッキョクグマをも凌ぐサイズである。

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今年の富士山の初冠雪は7日と発表されていたが、観測した甲府地方気象台はこれを一旦取り消すとのことだ。

何でも富士山山頂の9月20日の平均気温が8月4日を上回ったということで、最高気温以前の降雪は初冠雪とは記録していないとのこと。

9月初旬だとそりゃ今年は随分と早いなぁとは思っていたのは確かだが、冠雪した事実は置いといて見直すというのも何とも異例な話である。

とは言え自然の移ろいと人が決めた暦との微妙なズレからくる観測条件の差異は、事前のルールの基で当てはめていかないと、後々その統計値を使う際に面倒なことになるので仕方ないことであろう。

生物季節観測で言えば、例えばスイセンやウメの開花は緯度の低い地域では年の瀬に開花するのが一般的だ。

だが、そのまま人の暦に当てはめると12月の記録となってしまって、数字上は緯度の高い地域より遅いということになってしまうので、年界をまたぐというパラメータを加えることで、暦の上では前年末であっても、翌年のデータとして扱うというのがイレギュラーな対応となる。

Canon EOS-1V / EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM / PROVIA / グリズリー

Canon EOS-1V / EF24-70mm F2.8L USM / PROVIA / カリブー

余談だが、四季がはっきりしている日本と違い、例えばアラスカ北極圏など極地での初雪・遅雪の切り分けというのは難しのではないかと思っていて、現地を訪れた際に聞いてみたことがある。

その当時のデナリ国立公園のレンジャー曰く、7月中に降れば遅雪、8月以降なら初雪と言っていた。公式的なものか今となっては定かではないが、8月のお盆過ぎ、やけに冷え込むとな朝テントから顔を出してみたら、ツンドラが一面真っ白で驚いたのを思い出した。

一枚目の写真はその8月22日に突然の降雪に見舞われた日に、バックカントリーで出会ったグリズリー。好物のブルーベリーを探してツンドラを歩き回り、近くにいる当方には目もくれず、あちこちほじくり返していたのをよく憶えている。

二枚目は同月27日のもの。この年は今年は雪が早いとレンジャーも驚いたほどよく雪が降っていて、いくらなんでも大袈裟だろうと思いつつ持ち込んでいたダウンの寝袋に随分と助けられた。

実際、9月に入ってすぐに氷点下10℃まで下がった朝もあって、さすがに極地は違うなと思ったものである。何しろ15日に国立公園が冬季閉鎖となって帰国した際、日本はうだるような残暑の中だったのだから。

今まさに話題の渦中にある米のラストベルトは、イリノイ・インディアナ・ミシガン・オハイオ・ペンシルベニアなど主に五大湖の東から南側の、かつて米の経済を支えた工業地帯の諸州を指す。

工業生産分野は30年前なら日本、現在は中国に取って代わられたことでその工業地帯も没落した結果、ラストベルト..ラストはLastではなく錆のRustでいわゆる「さびついた工業地帯」だ..と呼ばれるまでに至っているのは周知のとおりだ。

そのラストベルトに隣接する五大湖西岸の州がミネソタ州であるが、隣の工業地帯(だった)とは真逆のイメージで、付近一帯はノースウッズと呼ばれるカナダ国境と接しており、手つかずの野趣豊かな自然を有する美しい州として知られている。

ナショナル・ジオグラフィック誌で活躍する米の自然写真家ジム・ブランデンバーグ氏の故郷であり、同氏がテーマとして撮影し続けている場所としても有名だ。ちなみに日本でも写真家の大竹英洋氏がノースウッズをテーマに活動している。

そのノースウッズ南端に位置するのがミネソタ州で、中でも「バウンダリー・ウォーターズ・カヌー・エリア・ウィルダネス(Boundary Waters Canoe Area Wilderness)」は広大な自然保護区であり、大自然と呼ぶのにふさわしい自然景観の中、文明から隔絶されたウィルダネスとしてアラスカなどと並んで人気が高い。

そんな森と湖の聖地の地下に、銅やニッケルなど貴金属類の地下資源が埋まっていることが判って以降、米では採掘計画が浮上したり沈んだりを繰り返してきたことは意外に知られていない。

オバマ政権時代の2017年に既存の採掘場の上流部に当たるバウンダリー・ウォーターズでの採掘を禁止した方針を打ち出しているが、自国経済優先を掲げる現トランプ政権になってからそれをあっさり解除してしまったのだ。

自然環境が大きく変わる最大の要因は水の流れである。地下資源に手を付けるべく地面を掘り起し、結果水の流れが変化すればどういう事態を招くかはさまざまな歴史が証明している。

表立っては目に付きづらい地下採掘こそ不可逆的な自然破壊の最たるものであり、利を求め軽々に地面や地下に穴を穿つべきではないのだ。

今回の米大統領にトランプが再選するのかバイデン..正確には民主党だな..が取って代わるのか、今朝の段階でもまだ不透明。日本にとってはトランプ再選のほうが良いという意見が多いようだが、トランプ政権がまだ続くようだと、地球温暖化対策含めこうした自国のかけがえのない自然保護区をも危機に晒しかねないやり口がまた4年続くことを意味する。

あくまで他国の出来事であり、論評する以外に関わり得ないのが実情ではあるが、経済活動と違って「判断が間違っていたので元に戻します」って感じに絶対ならないのが自然であるが故、そういう視点で興味深く注視せざるを得ないのが、今回の米大統領選ということになる。

まあどっちが大統領でも日本との関係がそう大きく変わることもなさそうだが、自然保護という観点から言えばやはり花札野郎の再選は支持できないけどね。

Canon EOS-1V / EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM / PROVIA

見渡す限りのハイランドのツンドラに佇むカリブー。そしてここは北米アラスカで北極圏はすぐそこだ。

アラスカも北極海に面したプルドーベイ油田からバルディーズまで、内陸を縦断する石油パイプラインを敷設することで大いに揉めた過去がある。

日本は国土が狭いが故にその自然環境は箱庭的と評される。国土の7割が森林とは言え、そのほとんどが人工林もしくは2次林であることも大きいし、何よりその周辺に人の生活が想像できるからだろう。

北米の自然、とりわけ北極圏を擁するアラスカやカナダの場合、言葉通りその多くが「手つかず」である。厳密に言えば先住民の生活の営みや行楽での人の往来はあろうが、少なくてもそれを感じさせられことは稀であろう。

人の生活を寄せ付けない荒々しさが大きな要因なれど、そもそもそこに人の手を介在させないという選択肢を持つ人たちと、それを認める判断ができる人がいるというのが大きいのではないだろうか。

ハリウッド映画かと見紛うような、ワールドトレードセンタービルに突っ込む旅客機の映像がSNS上に流れるのを見ていて、19年前の昨日に米同時多発テロが起きたことを思い出していた。以下は直接9.11とは関係ないが、関連して思い出した点を3つばかり。

2001年の秋、アラスカ取材を行うべく準備を整え、エアーもシアトル経由アンカレジ行きを押さえた。が、渡航前には終わるはずだった仕事にキリが付かず、仕方なくその年の取材を諦めたのだが、そこで起きたのが9.11テロ。

実はアラスカに取材に出掛けていれば、帰りの便は9月11日アンカレジ発だったのである。エアーはノースウエストだったので、ハイジャックされた航空会社ではなかったが、もし当日米国にいれば、間違いなく数日間日足止めを食らっていたわけ。

2つ目は翌2002年の秋のこと。その年の夏のうちに用意周到に仕事の段取りを済ませ、何とか無事にアラスカ取材に出掛けることができた。

現地で2週間ほど過ごしたある朝、デナリN.Pのビジターセンターで、シーズン最後のワンダーレイク行きのシャトルバスのチケットを買おうとしていたところ、センターのスタッフの合図と共に、居合わせた人々が皆で黙とうを始めたのである。時計に目をやると時刻は8時50分ちょっと前。そう言えば今日は9月11日であったと合点がいき、拙者も慌てて黙とうを捧げた次第。

3つ目は2つ目の続き。アンカレジ空港から帰国の途につく際、当時はまだフィルムでの撮影であったため、搭乗前の手荷物検査でハンドチェックを頼んだ..テロの影響でX線検査が強力になったので..のだが、すると奥から見るからに屈強なマッチョな係官が現れ、拙者に近くの部屋に入れとあごで指示。部屋に入るともう一人係官..150kgはあろうかという巨漢で、違う意味で屈強w..がいて、荷物を全部出して服を脱げと言うではないか。

1人が何やら棒状の計器のようなもので拙者の全身をチェックする間、もう一人は500mmの望遠レンズなど大量のカメラ機材をチェックしつつ、「某国のスパイじゃないだろうな」などという、冗談とも本気ともつかないセリフを吐く始末。

よもやこのままシアトルでなくラングレーに移送されるのではないかと、冷や汗を流した記憶があるw

Nikon COOLPIX5000

左のLoweproのフォトレッカーは当時使っていた機材用バックパック。右はキャンプ用品など詰め込んで機内預けにしていたダッフルバッグ。

9.11が起きるまでは機材満載のバックパックを容易に機内に持ち込めたが、今はこのサイズは国内線・国際線問わずもう無理だ。拙者がことさら小さい機材にこだわるようになったのも、この辺りが記憶の端緒だったりする。

Nikon COOLPIX5000

デナリのポリクロームパスで極北の天狗様待ち。

アラスカもこの時すでに4回目となっていて、持ち込む機材はだいぶ洗練されてきた感あるが、今はもうこんなものを担いで歩きまわるのは勘弁だw

ちなみに当然三脚も現地には持っていっていたが、キヤノンの長玉には当時から手ブレ補正が付いていたので、ツンドラを歩き回る際は一脚のほうが便利だった。

Nikon COOLPIX5000

米シアトル・タコマ空港にて。

9.11テロの日、欧州から米国へ向かう多くの便が、アンカレジ空港に足止めされたらしい。NYへ向かったはずなのに、窓の外にはイヌイットの顔をペイントした旅客機が沢山駐機していて、さぞ驚いた人も多かったろう。

尚、垂直尾翼のイヌイットの顔はアラスカ航空のマーク。

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相変わらずどんよりとした天気模様で薄ら寒い日々が続いている。一時は仕事中は半袖短パンまで軽装になっていたのだが、長袖長ズボンのすっかり春の装いに逆戻りしてる。

雨が降って日が差さないだけならそれは梅雨の天気なのでそんなもんだが、とにかく気温が上がらないのでもはや天候不順と言ってもよい。近所の畑を見ていても作物の生育が遅いのは明らかで、契約農家はどこも皆頭を抱えているようだ。

そんな中、ロシアのシベリアにあるベルホヤンスクという町で、昨日なんと気温が38℃まで上昇したらしい。これは最高気温の平均よりさらに16℃も高いとのことで、北極圏では観測史上最も高い記録になるとのこと。

昔、アラスカを旅した時に内陸部のフェアバンクス..ほぼ北極圏の緯度だ..でも35℃くらいまで暑くなることがあるとは聞いたことがあるが、正直なところ極地でのその気温の上昇はなかなか想定しづらいものがある。

それでも、地球温暖化の影響で極地の氷が溶ける海面が上昇し、沿岸部のイヌイットの村が波に洗われて水没の危機にあるというのはよく耳にする話で、加えてシベリアやアラスカの永久凍土までもが溶け出すと、ツンドラの大地が泥炭湿地と化して、カリブーなど極地で生活する生きものにも何らかの影響が出てきそうだな。

ロシアと言えば、同じくシベリアのノリリスクでもツンドラ融解によって火力発電所の施設が傾き、2万トンの燃料が漏れ出して周辺の環境を汚染するという事故が起きていて、これは現在も進行中である。

米の花札野郎が常々地球温暖化などフェイク・ニュースだとほざいているが、こうした事実から目を背けていては、後世に残すべきものが解けてそして消えて亡くなってしまうぞ。

この秋はその米大統領選があるわけだが、差別問題や大統領としての資質云々もさることながら、また4年も花札野郎が米を引っ張ることになるようだと、地球温暖化による悪影響は手遅れになりかねないな。

Canon EOS-1V / EF70-200mm F2.8L IS USM

秋色に染まるアラスカのツンドラを征くカリブーの群れ。

アラスカの大地を風のように季節移動するカリブーを、極北の旅人と言ったのは星野道夫氏だったかな。

こんな景色を後世にしっかり残していくべきだ。

日本ではほとんど報道されていないが、アマゾンの森林火災がかなり深刻なようである。

その状態は衛星画像でも見て取れるほど広範囲に及び、2500km以上離れたサンパウロでは日中でも暗くなるほどの煙害が広がっているとのこと。

以前から農地や放牧地を増やすために現地の部族たちが無計画な野焼きをやって来ており、常々そういった行為が今回のような延焼騒ぎを起こしているらしいが、今年入ってからの森林消失ペースは異常なほど早いようだ。

何しろ地球上の酸素の20%がアマゾンのジャングルで作り出されているという説もあるので、その深刻さの度合は推して知るべしだろう。

酸素を生み出す場所が無くなることイコール、それは同時に二酸化炭素を吸収する場所が無くなることを意味する。それどころかそこに人の生活圏が広がって生産活動が生まれ、さらに牧畜が行われれば二酸化炭素の排出量が逆に増えるので、地球温暖化に拍車がかかることにもつながる。

さらにまだ未発見の種を含め、熱帯雨林には世界の生きものと植物の半分が生息しているとも言われているので、世界の熱帯雨林の半分を占めるアマゾンの森が消失することで、どれだけの希少な種が失われるのか想像できない。

だからと言って我々に何かができるわけではないのだが、高速道であおり運転しているバカのことなど呑気に報じてる場合ではないことだけは言える。

Canon EOS-1n / EF24-70mm F2.8L USM / PROVIA

その昔、米アラスカ州を訪れた際、フェアバンクスからデルタジャンクションへ向かう途中で広大な広さの森林火災跡を見かけた。少し高いところへ上がってみたが、言葉通り見渡す限り焼け野原が広がっていて驚いたものである。

米の西海岸も森林火災の多いところだが、彼の地は国土面積が広いせいか燃えるに任せ、人家に近づかない限りは自然鎮火を待つらしい。国土が狭くそれこそ人が密集して生活している日本では信じられない話だが、所変わればということだ。

LEICA R6.2 / APO MACRO ELMARIT-R 100mm f/2.8 / fortia

森林火災は落雷などで自然発火するケースも多く、それ自体は自然界に織り込まれているようで、火災後にだけ芽吹く植物も多く見られる。Fire weedの名で呼ばれるヤナギランもそういった種の一つだ。

北方志向的放浪者としては琴線に触れる資料の数々。やはり旅は良いね。

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先日、ノルウェー南部の国立公園で野生のトナカイ323頭が死んでいるのが発見された。

台風とまではいかないまでも、一体を暴風雨が吹き荒れた直後の出来事らしい。死因は落雷とのことで、身を寄せあって荒天をしのいでいたところを雷に打たれたようである。

恐らく当人たちは何が起きたかも判らずに一瞬で絶命したと思われるが、事態を発見した狩猟監視員..この時期はトナカイの狩猟シーズンだそうだ..によれば、まだ数頭は息があってそれらを安楽死させたとのことだ。

このところ連続して台風が日本列島を縦断し、各地に甚大な被害をもたらしているが、人智を超えた自然の力の前では人も生きものもおおよそ無力である。

20160901

デナリ(旧マッキンリー)をバックにカリブーの角をパシャッ。

和名のトナカイはアイヌ語が語源と言われている。英名は「レインディア(Reindeer)」だが、北米の個体群はフランス語源のカリブー(Caribou)と呼ばれている。

北米なのにフランス語とは不思議な気もするが、北極圏を擁するカナダは英語とフランス語が公用語なので、その辺りも関係するのだろう。

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