タグ : ブナ

奥山のブナの森を空から眺めてみると、春から初夏への季節の移ろいは、見る者を置いてきぼりにするかのようにあっという間の出来事だ。

キツツキのドラミングがこだましていた雪解けの森は、エゾハルゼミの大合唱にあふれる萌黄の森へと移り変わった。生きものや植物の息吹あふれる季節の進みは待ったなしである。

DJI Mavic Pro(1枚目は4Kから静止画切り出し)

森の中からドローンを上げるにはそれなりの技術を必要とする。上空に障害物となる木々の枝が張り出してないか慎重に確認することが求められ、闇雲に離陸させると幹や枝にプロペラを引っ掛けて墜落の憂き目に遭うことは必定だ。

例えそれが芽吹き前の明るい林内であっても、枝の張り出し自体は展葉期と変わらない。逆にそこに枝があることに気が付かない..細い枝には障害物回避センサーは反応しない..ため、プロペラの破損、ひいては機体の破損につながる可能性が高いのである。

低山の森で開けた空間を探すのは一苦労だが、奥山のブナの森には倒木更新が見られる。大木となって枝を大きく張り出したブナが何らかの要因で倒れると、そんな場所にはポッカリと樹冠が空けている..ギャップとも言う..のである。

一般的にブナは単層林を形成することが多く、それ1本で森の中の空間を広く支配している。そんなブナが倒れるということは、自分の立ち位置を他の植物に譲ることになり、追っ付け光を求めてブナも含めた生存競争が始まるのである。そのきっかけが倒木更新なのだ。

森の中に特機のクレーンを持ち込むなど想定外であるため、そんな倒木更新で空けたギャップを利用させてもらうことで、林内からドローンを森の上空へと離陸させることが出来るのである。

但し注意が必要なのは、芽吹き前は多少ドローンを移動させても下から捕捉することが出来るが、展葉期は空いた樹冠以外は空が見えてないため、上下降以外の動きをドローンにさせるのは危険である。飛行可能エリアであっても、目視外飛行のためには専任の監視要員が必要なのと、そもそもその監視要要員からドローンが見えている必要がある。

折りたたみ式で携行性の高いMavic Proの登場で、こういった単独シチュエーションでも空撮が出来るようになったが、安全面での配慮を怠ってまで飛行させることが出来ないのは言うまでもない。

ミラーレス一眼を2台..フジのX-H1とX-T2..にその交換レンズ、小型トラベラー三脚、それに空撮用のドローンを一つのバックパックに収納して運用中。

別のパターンでは、X-T2の位置に対生きもの用にG9 PRO+パナライカ100-400が収まる場合もあるが、終日撮影の場合は食料他の収納も必要なので、歩行中の速写性の観点からもG9 PROはトップローダー式のショルダーで下げている場合が多い。

何にせよ写真に動画にしかも空撮まで、こんなコンパクトな機材で運用できるのだから、つくづく良い時代になったもんだとしみじみ。

でも上ばかり見上げて歩いていると、木々の根や石につまづいたり、張り出した木の枝に引っかかりする事があるので、時々は足元にも注意を払ったほうが良い。

そんな時、見下ろすだけでなくちょっと視線を下げて見るだけで、それまで見えてなかったものが見え出すこともある。木々は光を求めて上へ上へと幹を伸ばすが、その始まりも終わりもすべて林床あってこそだ。

人の目線で見上げる森もあれば、光わずかに届く世界から見上げる森もある。林床の世界は自然の小宇宙である。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR(2枚目・6枚目)
PROVIA / Velvia(3枚目・4枚目)/ Dレンジ優先(4枚目)

但し、他の人に見えないものが見え始めたり、本来そこになかったものが写りだした場合、もしかしたらそれは心の病か、人智を超えた力の発動かもしれないので、しばし経過観察が必要かもしれない。

場合によっては然るべきところに相談するのが吉だろう。人によっては、森の中とはそんな霊験あらたかな場所なのである。もちろん、世俗の垢にまみれた欲の塊のような拙者には、今も昔もそんなありがたそうな事例はないけどねw

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初夏は一年で最も日差しが強い時期だが、新緑の森の中は新しい息吹となった葉を透過して降り注ぐ光が気持ちいい。

葉や幹の重なりを探してアングルを変えてみつつ、シャドウを落として葉脈を強調したり、ハイライトを飛ばして太陽光による自然のライティングを活かしたりと、この季節に森の中を歩く時はついつい樹上に目が行ってしまう。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / Velvia

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / Velvia / Dレンジ優先

森の中は暗い。カビの生えたような古い考えの撮影テクニックの教本なら、ガッチリした三脚にカメラを固定して息を殺し、レリーズでシャッターを切れとか何とか書いてあるが、こんな気持の良い季節にいちいち立ち止まって機材をセッティングして撮影など、実に非効率でもったいない。

小型軽量で手ブレ補正の付いたミラーレスカメラ..または手ブレ補正の付いたレンズ..なら、そんな面倒なことで時間を潰すことなく、次から次へと被写体を探して歩を進めることができる。

でも鳥や虫の息吹の音や、初夏の風が樹冠を駆け抜ける衣擦れの葉音に耳を澄ます時はそっと立ち止まろう。何事もリズムが大事だ。テンポを変調するきっかけはそんな自然の奏でる音が良い。

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時々HDR

2018/5/23

キビタキとクロジのさえずりがブナの森に響く。時々ガサガサとササを揺らして何かが走って逃げていく。林床には新緑を通過した柔らかな初夏の光が差し込んで、ゆく道を照らしてくれる。

エゾハルゼミもまだ控えめにジージー鳴いているが、この暑さが続けばすぐに降るような大合唱となって、鳥たちからその声の主役の座を奪うことだろう。

平日の玉原は行き交う人の喧騒もなく静かなものだ。20年くらい前なら鳥たちの春コーラスも盛大に楽しめたが、ご多分に漏れず玉原も昔の面影はない。環境が変わったのか鳥が減ったのか、はたかまその両方なのか。こればかりは鳥に聞いてみるしかないかな。

それにしてもだ。Google日本語入力の相変わらずの語彙の狭さに辟易する。未だに「たんばら」と入力して玉原が変換されないのだから。玉原の知名度がその程度ということがあるのは一理あるが、関東でも人気の玉原高原スキー場が隣りにあるのだから、いい加減何とかしろよって思う。

辞書に単語登録すれば良いのは今も昔も変わらないが、時々クリーンインストールを実行してMacをリセットする習慣がある..都合でmacOSのTime Machineは使ってない..ので、その度に細かい設定を元に戻すのが面倒なんでね。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS(4枚目・5枚目)
ETERNA(1枚目) / Velvia

X-H1にはDレンジ優先という設定がある。これはX-T2以前には実装されていない機能で、フィルムシミュレーションのETERNAと一緒にX-H1から追加されたものだ。

Dレンジ優先は、文字通りダイナミナックレンジをカメラ側で適切にコントロールするという仕様からして、従来からあるダイナミナックレンジを倍々で広げていくDR100〜400よりも、場面に合わせてそれなりに写るようである。

ETERNAは動画用のフィルムシミュレーションであるが、デフォルトでダイナミナックレンジを広くとる設定なので、ETERNAとDレンジ優先が合わせ技..X-T2にはどちらもないので..なのは何となく理解できる。

以前、ファームアップでX-T2にもETERNAが追加されるような噂もあったが、もしかしたらX-H1にはオンボードで何かそれ用のハードが積まれているのかもしれない。

写真の世界では白は白く黒は黒く、特に暗部を黒く潰すことでメリハリをつける、いわゆるコントラストを高くするという表現方法がよく使われる..モノクロの世界がまさにそれ..が、昨今はネットの時流に乗じてどこもHDR流行りなので、白を飛ばすことなく、黒を潰すことなくが好まれているようだ。

上の例では、4枚目が通常..新緑を表現しているので幹を黒く潰している..に撮影したもので、5枚目の写真がDレンジ優先で撮影したものだ。4枚目と同様に新緑に露出を合わせれば林床は黒く潰れ、逆に林床に露出を合わせれば新緑は飛んでしまうことになる。

初夏の森の中は、樹相により林冠が空けている場所もあれば、倒木による空間、それに新緑の透過光など複雑に光が射し込むため、適正露出をどこに合わせるかは表現次第で千差万別となる。ならばいっそすべての光をと欲張るなら、こういうHDR表現も一つの手と言えるだろう。

ただ、何でもかんでもHDR表現というのはちょっといただけない。何事もほどほどが良いのである。

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飛行機雲

2018/5/19

先日仕事で上京した際、ヒコーキ写真家であるルーク・オザワ氏の写真展「JETLINER ZERO GLORIOUS -神業-」を、品川のキヤノンギャラリーSで鑑賞してきた。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S / L.モノクロームD

結論から言うとスゴイの一言。とにかく圧巻の作品群であった。一度会場を出てから頭を冷やし、再度見直したほどだが、過去に写真展を同じ日に二度見したのは初めてのことである。

航空機自体に言うほど興味があるわけではないが、同じ空を飛ぶ鳥には強く惹かれるので、そこはインスパイアされるものがある。何より同氏の作風というかテーマが「情景的ヒコーキ写真」とあり、これは航空機そのものというより、航空機が飛ぶ姿を含めた風景そのものであることに興味を惹かれる。

Canon EOS 5D Mark III / Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM

航空機という本来ならメカメカしい乗り物が、美しい風景の一部となってフレームに切り取られている姿は圧倒される。光の捉え方、色の使い方、構図のバランス等々、どれを取っても航空機写真というカテゴリを超越して、恐らくどんなジャンルにも応用できそして参考になるはずだ。

写真展に関しては、特にジャンルは拘らずに観るようにしている。そのテーマに興味がなくとも、作品の選択基準や展示順、照明などは色々参考になるためだ。撮影者本人がいる時はラッキーで、その場合は可能な限り話を聞くようにしている。まあなかなかメジャー級の写真家だと取り巻きが多いので難しいけどね。

ちなみにルーク・オザワ氏は、この分野の第一人者とは思えないほどフランクな方で、見た目からしてダンディでいわゆる格好いいカメラマンである。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / Velvia

普段、飛行機を直接撮る機会はほとんどないが、上州の空は北回りの欧州航路の下に当たるようで、飛行機雲なら時々良いアクセントとして撮るようにしている。

この日もブナ林から見上げる抜けるように青い空に、一筋の飛行機雲が伸びていた。エゾハルゼミの合唱が一際大きく響く。

北部フィールドの標高1200m以上のブナ林でもボチボチ芽吹きを迎え始める頃だが、北向きの林床にはまだ残雪が見られる。

もっとも例年ならまだ一面雪に覆われているわけで、今年は早くからそこここで根開けが始まっていた様子が見て取れる。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / ETERNA

この時期にしては気温が高く、けもの道ともつかぬ山道を歩きどうしで額に汗するが、林内に入って残雪上で小休止していると、時折吹く風もひんやりとして心地よい。

すぐ近くでコルリが高らかに鳴き、樹上ではクロジが恋の歌を歌っている。不意に笹を揺らしながら何者かが遠ざかっていくが、それがヤマドリと判った時にはすでに遅きに失たりである。

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今年は久しぶりにブナが花を付ける年である。

ブナは数年おきに花をつける。そのため実がなる年とならない年があるため、年によっては凶作という事態になり、ツキノワグマのようにブナの実を当てにしている生きものには打撃となる。

とは言えクマもブナの実だけ食べているわけではなく、その時々で腹いっぱい食えるものを探しているので、世の中が騒ぐほどのこともないのだが、総量からすると食糧事情が悪くなるのは事実なので、里での目撃頻度が高くなるのは仕方ないだろう。

という事で、今年の秋はクマ騒動は少なかろうと想像するが、自然の成り行き上それは秋になってみないと判らないのが実際のところだ。

FUJIFILM X-T2 / XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR / PROVIA

左がブナの雄花のつぼみ。右はブナ林ではおなじみのコシアブラの新芽。

ちなみにブナは風によって受粉する風媒花。桜のように虫や鳥など生きものの力を借りる..場合は虫媒花と呼ぶ..ことはないので、花自体は目立つ必要がないため、見た目の色味も薄く地味なものだ。なので知らない人には花を咲かせた事実さえ判らないだろう。

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晩秋の北の森

2017/10/26

冬枯れと言った言葉がまさに適当な北部フィールドは、早くも晩秋の様相だ。季節の進みが早いというよりは、先日の台風の影響が大きいだろうか。

DJI Mavic Pro

DJI Mavic Pro
FUJIFILM X-T2 / XF10-24mmF4 R OIS

天狗3号を飛ばして鳥の目になるまでもなく、ブナの森はやや早い冬仕舞いとなっている。

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続・秋の実り

2016/9/30

我が家のブナが植えてから14年目にして初めて実を付けた。しばらく気が付かずにいて、モズがよく高鳴いているので写真を撮ろうとして判った次第。

20160930

どんなに全国的にブナが豊作の年でもウンでもスンでもなかったのに、なぜこの秋なのか不思議である。さらに不思議なのは写真の1本の枝先だけなのだから、これまた何とも妙な話である。

例年、花は一通り咲いているんだけどね..

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夏鳥の渡来を除けば、季節の色々が早め早めなのには調子が狂うというものだ。今頃ならあそこであんな感じの絵が狙えるな、という判断を10日早く計算する必要がある。すでに撮り逃したシーンも結構あるのは、ストックフッテージ屋としては痛いなぁ..

20160502

ブルーベリーの開花も、ちょっとフライング気味ではないと思えるほど早い。このペースでは6月には収穫できてしまいそうだ。

20160502b

でもブナはまだこんな感じ。うちのブナの芽吹きはもともと遅いのだ。

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