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大風

2012/12/6

ビュービューと大風が吹き荒れた。

林道を走っていると、時々折れた木の枝が落ちてきて、ボンネットや屋根に当たる。カーン!とひときわ甲高い音がすぐ頭の上でして、思わず首を引っ込める。バックミラーに大きな枯れ枝が転がって落ちるのが見えた。車を止めて屋根を確認すると、また一つ勲章が増えているのが判った(苦笑)。

車に戻ろうと運転席に近づくと、すぐ近くからヤマドリの雄がいきなり飛び立って再び驚く。意外に近くに降り立ったので、カメラを持って近づくが、さすがに2匹目のドジョウはいなかった。

いくつかの支線が通行止めで、仕方なく大回りで麓の集落へ戻る。途中思い立って久しぶりに某峠へ上がってみると、ここも反対側が通行止めであった。この峠にはなぜかブナの大木が1本だけ立っている。周囲はカラマツと杉、それに檜の人工林の見本市。その昔はブナ林が広がっていたのか、それとも自然の気まぐれか。

峠とはいっても今は閑道。行き交う人影の気配もなく、古の往来を忍ばせるものは小さな道祖神ぐらいだ。ゴーゴーと唸りを上げ、足を止めるものを拒絶するかのように、峠の寒空を強風が吹き抜ける。

ふと、誰かに見られているような気配に視線を泳がせると、笹を揺らしながらキツネが去って行くのが見えた。

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